2013 Fiscal Year Research-status Report
マウスの心臓移植モデルによる拒絶反応抑制に関わる漢方薬の作用機序の解析
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24590900
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
新見 正則 帝京大学, 医学部, 准教授 (80198415)
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Keywords | 漢方薬 / 移植免疫 |
Research Abstract |
平成24年度の実験をさらに進める。漢方エキス剤として保険適応されている148種のすべてを網羅的に解析する。148エキスを構成する生薬は100以上あるが、それらも網羅的に解析する。茵ちん五苓散のように、構成生薬中のひとつ(この場合は茵ちん蒿)が有効である場合や、複数の組み合わせによって有効な場合もあり、根気よく実験を行った。現時点での漢方薬エキスの内服によるマウス心臓移植片の生着期間に関するデータを纏め、Transplantation Proceedings 46, 1175-1179 (2014)に報告した。特に、6種類の構成生薬からなる当帰芍薬散(TJ-23)の実験において、各生薬の組み合わせの投与実験を行い、芍薬と川きゅうの組み合わせが免疫制御作用を示し、免疫制御細胞の誘導を証明した。当研究をEvidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2014に報告した。 一方で、内服の研究と同様に、匂いの研究も検討した。内服では柴苓湯(TJ-114)が拒絶中央値100日以上、当帰芍薬散が47日という結果であったが、キャビネット内を漢方薬の匂いで満たしたところ、内服させないにも拘わらず、当帰芍薬散では拒絶中央値は100日以上になった。一方、柴苓湯の匂いは全く無効で9日であった。匂い中枢に漢方薬が作用したのか、または鼻粘膜からの匂いの吸収で効果を示したのかを調べるために、外科的嗅覚中枢除去マウスを作成した。結果は拒絶中央値は7日となり、匂い中枢から脳への刺激が身体中の免疫に影響する可能性を示唆する結果となり、匂いを嗅がせたマウスにも免疫制御細胞が誘導され、生着延長を示すことが分かった。この匂いに関する研究はJournal of Cardiothoracic Surgery 2014, 9:82にて掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・保険適応の148種類のうち、既に80種類のデータを解析した。 ・特に、当帰芍薬散(TJ-23)を構成する生薬の中で、芍薬と川きゅうの組み合わせがその効果を示すことが判明し、証明報告した。 ・匂いの研究に関しては、外科的嗅球除去マウスを作成し、匂いが免疫制御細胞を誘導することを証明し、研究発表を行い、既に論文報告済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24、25年度の実験を更に進める。残った漢方薬の解析を続ける。生薬についても同様である。その中で、無治療群との有意差を認める漢方薬には同様の解析を行う。解析方法は過去の研究と同様に、フローサイトメトリー分析やAdoptive transfer study(養子移植実験)、免疫組織染色、サイトカイン定量等を行っていく。脳科学の解析では脳への効果を画像化していくことも検討中である。 実験は基本的に内山雅照が行う。彼らは100%実験に従事しており、帝京大学大学院を卒業した張奇、金相元も実験に協力している。免疫組織染色は獨協医科大学医学部マクロ解剖学教室の機器を借用して我々自身が行っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・マウスの繁殖率が想定よりも向上し、新規のマウス購入費負担が軽減されたため。 平成26年度の研究経費は平成24年、25年同様すべて消耗品である。研究設備は既存の設備(新見正則研究室)で全く問題ない。CBAとC57BL/6はそれぞれ2000円程度であり、1移植あたり4000円が必要となる。1群には少なくとも10組必要であり、漢方エキス剤50種類、それらの構成生薬を約50種類となると100群×10組×4000円=400万円となる。このマウス購入費を減らすために、帝京大学中央動物センターと研究室においてマウスの交配を行い、購入費の軽減に努めている。飼育費用は別途必要で、交配用マウス購入費用とマウス飼育費用で約80万円となる。心臓移植用の糸は高価で10-0ナイロン糸を使用するが1本は1000円する。10回の心臓移植に使用可能で、1回あたり100円となる。1000組行うと10万円である。免疫学的解析費用は細胞分離用ビーズやFACS用抗体、サイトカイン測定キット等である。
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