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2012 Fiscal Year Research-status Report

転写因子HIF-1を軸とした関節拘縮分子メカニズムの解明:新規分子治療製剤開発

Research Project

Project/Area Number 24590906
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionMorinomiya University of Medical Sciences

Principal Investigator

川畑 浩久  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 助教 (30454680)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 青木 元邦  森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (00346214)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords関節拘縮 / 滑膜 / 線維化 / HIF1α / CTGF / VEGF
Research Abstract

廃用症候群による関節拘縮は、関節可動性再獲得までに長期間を要し、関節の潤滑な動きを再現することは極めて困難であり少なからず障害を残すためActivity of Daily life(ADL)の低下に大きく関与しており、特に寝たきり状態で発生する頻度は高く、リハビリテーション学・老年医学の分野では大きな課題である。にもかかわらず、関節拘縮の病態に対する研究は、これまでは病理学的な検討にとどまっており、詳細なメカニズムは未だ明らかとは言えず、病態発生・進展に関する分子生物学的検討はほとんど報告がない。そこで本研究では関節局所の低酸素(Hypoxia)状態に着目し、Hypoxiaにより活性化される転写因子HIF-1を軸として、HIF-1により制御されるCTGF・VEGF、またTGF-β等の各種分子発現動態を疾患モデル動物にて明らかにすることを目的として検討を行った。
まずはマウスをもちいて関節拘縮モデルを作成し、継時的に関節可動域を測定、その後組織を採取し、組織学的ならびに分子生物学的に解析を行った。また機械的刺激を与える低出力超音波パルス(LIPUS)による治療介入を行い、同様の検討を行った。その結果可動域の減少に伴い、関節包の内層に存在する線維性滑膜は増生し、滑膜全体が線維化を生じており、免疫組織化学的染色により線維化を生じた滑膜組織内に広がるようにCTGF陽性細胞が分布していた。また新生血管の形成についても検討したところ、線維化を生じている組織内にCD31陽性細胞を認め、滑膜組織内に新生血管が形成されていることが確認された。これらの変化はLIPUSによる治療介入により著しく抑制されていた。
本研究結果から滑膜組織の線維化が関節拘縮の主たる病変であり、その治療においては線維化を抑制することが重要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在マウス関節拘縮モデルにより、関節拘縮においては滑膜組織の線維化が生じることが可動域制限の主な原因になることが明らかとなった。この線維化については、さまざまな病的線維化に関与するCTGFが強く関与しており、さらにVEGFによる血管新生が線維化を進行させると考えられた。でCTGF、VEGFの発現は関節の不動化により何らかの因子のよって誘導されたと考えられたため、関節運動を伴わない状態で、力学的刺激を加えることのできる低出力超音波パルス(LIPUS)をもちいたところ、明らかにCTGF、VEGFの発現は抑制され、滑膜組織の線維化も抑制することができた。これは従来報告されていない現象であり、我々が見出した結果である。なおLIPUSは現在臨床的にも使用されている治療機器であることから、臨床上きわめて有用な知見であると考える。これらについては第12回日本抗加齢医学会総会ならびに第21回日本柔道整復接骨医学会で報告した。しかしながらCTGF、VEGFの発現を直接誘導するHIF1αの発現ならびに転写活性についての検討はできておらず、本研究の核心部を解明するには至っていない。HIF1αの転写活性の上昇が明らかとなれば、デコイ核酸試薬を用いた治療の有効性を示唆することとなるため、これについての検討を行うことが本研究にとっては最優先課題である。現在にこれについては蛋白の抽出、転写活性を抑制するデコイ核酸医薬の調整などの準備も整ってきており、現在予備実験を行っている段階である。
以上のことから本研究は、現段階では当初の研究目的は達成するべくおおむね順調に進行していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

これまでCTGF、VEGFの発現については遺伝子発現レベルで検討したものの、これらの発現を直接誘導するHIF1αの発現ならびに転写活性についての検討は行っていない。しかしながらHIF1αを軸とした関節拘縮における分子メカニズムを解明は、本研究の核心部であることから、今後関節不動化による循環障害が関節内に低酸素状態をもたらし、滑膜細胞においてHIF1αの転写活性が上昇していることを明らかにする必要がある。そのために現在関節拘縮を発生したマウス膝関節から滑膜組織を採取し、遺伝子ならびに核蛋白を抽出し、リアルタイムPCR法ならびにELISA法にてHIF1αの発現変化についての解析準備を進めている。
さらにHIF1αが関節拘縮の発症の中心的役割を担っていることを明らかにした後、HIF1に対するおとりとなる転写活性を抑制するデコイ核酸医薬を作成し、関節固定を行う同時にこれを関節内に投与することで、どのような影響を与えるかについに検討していく。すなわちデコイ核酸医薬をもちいることにより関節拘縮を抑制することが、本研究の最も重要な目的であることから、今後はこれについての検討を中心として研究を進めていく。
しかしながらこれまで関節疾患にデコイ核酸医薬をもちいた研究がほとんどなされていないことから、現在デコイの至適濃度、取り込み効率などについての予備実験を行っており、その後関節拘縮モデル動物に対しデコイ核酸医薬を投与し、滑膜組織における病態変化について組織学的に検討し、あわせてCTGFやVEGFなどの関節拘縮を促進する分子の発現についても解析を行っていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度おおむね順調に研究を進めることができたが、試薬や実験動物の購入に際して価格の変動があり、わずかながら予定していた価格との差額が生じた。
次年度繰越分については実験動物の購入費用の一部として使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 関節拘縮における滑膜の分子生物学的変化とLIPUSによる治療介入の検討2012

    • Author(s)
      外林大輔,川畑浩久,吉川徹,穴田夏希,細田明菜,根來信也,青木元邦
    • Journal Title

      兵庫学術誌

      Volume: 38号 Pages: 87-94

  • [Presentation] 関節拘縮における滑膜の分子生物学的変化とLIPUSによる治療介入の検討2012

    • Author(s)
      川畑浩久,外林大輔,根來信也,葉山直史,吉川徹
    • Organizer
      第21回日本柔道整復接骨医学会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場
    • Year and Date
      20121124-20121125
  • [Presentation] 関節拘縮の進展メカニズムに関する検討2012

    • Author(s)
      青木元邦,外林大輔,川畑浩久
    • Organizer
      第12回日本抗加齢医学会総会
    • Place of Presentation
      神奈川 パシフィコ横浜
    • Year and Date
      20120622-20120624

URL: 

Published: 2014-07-24  

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