2013 Fiscal Year Research-status Report
器官形成因子制御機構を背景とした幹細胞ニッチ異常による胃発癌浸潤メカニズムの解明
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24590911
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
富田 弘之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50509510)
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Keywords | 消化器 / 癌 / 増殖因子 |
Research Abstract |
1. FGF10のin vivoでの機能的な解析を行うため、BAC (Bacterial Artificial Chromosome) recombineering 技術を用い、FGF10 GFPレポーターマウスを作製した。しかし、目的とする消化管や胆膵ではGFP陽性細胞野発現が弱く、免疫組織化学染色ではとらえ難かった。現在、フローサイトメーターによるGFP陽性細胞の確認の可否を検討中である。 2.ドキシサイクリンの投与により、FGF10の発現を制御可能なDox-inducible Fgf10強制発現マウスを得た。このマウスの解析により、Fgf10持続強制発現によるpancreatic and biliary intraepithelial neoplasiaの発生を発見した。Dox高濃度短期間投与群では、十二指腸から小腸にかけての腺管の過形成変化および粘液産生細胞の増加を認めた。一方Dox低濃度中期間投与群では、高濃度短期間投与群と同様に消化管の腺管過形成変化および粘液産生細胞の増加を認めるだけでなく、膵胆管上皮における粘液貯留、乳頭状・鋸歯状増殖、核の多層化・大型化といった過形成変化及び腫瘍性変化を認めた。その組織変化は広範囲の膵胆管上皮に強くみられ、間質の線維増生、αSMA陽性筋線維芽細胞(膵星細胞)の増殖、炎症細胞浸潤が著明であった。異型を呈した膵胆管上皮はKi67染色(細胞増殖能を反映)でびまん性に染色され、ヒト組織におけるPanIN、BilIN病変と類似した組織像および染色性を示した。Fgf10の比較的低いレベルでの持続的発現上昇が、PanIN、BilIN類似病変の出現に関与している可能性が示唆された。Pancreatic Intraepithelial Neoplasia(PanIN)、Biliary intraepithelial neoplasia(BilIN)は膵胆道系癌の前駆病変と想定される。胃病変については、他の研究室より先行論文がでてしまい、追求するかどうか検討中である。 3. Fgf10 flox/flox mouse作製を行い、現在生体化できている。Fgf10 conditional knockout mouse作製につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.昨年度より継続していた予定していた3種類の遺伝子改変マウス(Fgf10 GFP レポーターマウス、Dox-inducible Fgf10 transgenicマウス、fgf10 flox/flox マウス)の作製は予定どおり作製できた。 2. 胃の病変は他研究室より先行論文がでてしまった。しかし、我々は、新たな発見ができた。Dox-inducible Fgf10 transgenicマウス により、Fgf10持続強制発現によるpancreatic and biliary intraepithelial neoplasiaの発生を発見した。これは未だ発表の無い現象で、これを軸に進めたい。 3. 癌細胞株実験は今継続中。 4. Fgf10 GFP レポーターマウスは消化管、胆膵ではあまり有用ではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(H26)はマウスの作製した3種類の遺伝子改変マウス(Fgf10 GFP レポーターマウス、Dox-inducible Fgf10 transgenicマウス、fgf10 flox/flox マウス)を用い、炎症・発癌モデル実験を行う。この2年で、胃の病変は他研究室より先行論文がでてしまった。また、我々が作製したマウスの有用な点、あまり良くない点も十分検証できた。しかし、我々は、新たな発見ができた。Dox-inducible Fgf10 transgenicマウス により、Fgf10持続強制発現によるpancreatic and biliary intraepithelial neoplasiaの発生を発見した。胆膵の乳頭状早期病変のマウスモデルは極めて貴重で、これは未だ発表の無い現象で、これを軸に進めたい。
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