2014 Fiscal Year Annual Research Report
器官形成因子制御機構を背景とした幹細胞ニッチ異常による胃発癌浸潤メカニズムの解明
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24590911
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
富田 弘之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50509510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】Biliary intraepithelial neoplasia(BilIN)は膵胆道系癌の前駆病変と想定され、上皮過形成から周囲線維増生を経て段階的に癌に至ると理解されている。一方、Intraductal papillary neoplasms of bile duct(IPNB)との関係は未だ不明である。【目的】膵胆道系の発生・維持に重要とされるFibroblast growth factor 10(Fgf10)に注目し、遺伝子改変マウスを作成し、腫瘍化への関与を検討した。【方法】Tet-on systemを用いて、Doxycyclin(Dox)の濃度依存性にFgf10発現を制御しうる遺伝子改変マウス(Fgf10 Dox-inducible transgenic mice)を作製し、Dox投与を行った。【結果】Dox高濃度短期間(Dox 0.02%, 5 days, free drinking)投与群では、1.十二指腸から小腸にかけて腺管過形成および粘液産生細胞の増加を認め、2.膵胆管の主枝及び太い分枝にて、乳頭状、鋸歯状に増殖する反応性もしくは腫瘍性の異型腺管が発現した。一方Dox低濃度中期間(Dox 0.002%, 70 days, free drinking)投与群では、3.高濃度短期間投与群と同様に消化管腺管過形成および粘液産生細胞の増加を認め、4.膵胆管上皮における粘液貯留、乳頭状・鋸歯状増殖、核の多層化・大型化、核の内腔への迫り出しといった過形成変化及び異型性変化を認めた。その組織変化は高濃度短期間投与群と類似しているものの広範囲の膵胆管上皮により強く認め、間質の炎症細胞浸潤、線維増生、筋線維芽細胞(膵星細胞)の増殖が著明であった。また、5.異型を呈した膵胆管上皮はKi67染色(細胞増殖能を反映)でびまん性に染色され、異型膵管周囲の間質はαSMA抗体による免疫染色(膵線維化に深く関与する膵星細胞の活性化程度を反映)で強陽性に染色された。これはヒト組織におけるBilINあるいはIPNB病変と類似した組織像および染色性を示した。【結論】Fgf10の持続的発現上昇が、BilIN、IPNB類似病変の出現に関与している可能性が示唆された。
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