2014 Fiscal Year Annual Research Report
ADAMプロテアーゼ活性化分子ナルディライジンを標的とした消化管癌治療法の探索
Project/Area Number |
24590914
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米門 秀行 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (90452359)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 癌 / 胃 / シェディング / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタロエンドペプチダーゼの一種ナルディライジン(Nardilysin、NRDc)は、ADAMプロテアーゼ群の活性化因子である。研究代表者らの予備的な検討により、NRDcは胃癌や大腸癌の癌上皮細胞で高発現すること、NRDcをノックダウンすると癌細胞株の増殖が抑制されることが示された。そこで本研究では、NRDcが消化器癌の増殖、進展に及ぼす影響、およびその機序を解明しようと試みた。そのために、平成26年度には、とくに以下の検討を行った。 1.NRDc発現上昇による大腸癌細胞の抗癌剤感受性の変化:NRDcをノックダウンした大腸癌細胞株を5-FU、イリノテカン、ドキソルビシン等の抗癌剤に暴露し、生存細胞数の変化をNRDcノックダウン細胞及びコントロール細胞間で比較し、同時にアポトーシスの程度を解析した。その結果、一部の抗癌剤処理によって、Baxの変動を伴ってNRDcノックダウン細胞株でアポトーシスが有意に誘導されることがわかった。同時にp21などの細胞周期調整にかかわる因子も変動し、細胞増殖が抑制されうることも見いだした。 2.in vivoにおけるNRDcを標的とした消化管癌治療法の探索:in vitroの細胞増殖アッセイを用いて、NRDcの機能を抑制する抗体クローンのスクリーニング実験を行った。その結果、複数の抗体クローンにおいて、in vitroで癌細胞株の増殖抑制が確認された。さらに、ヒト消化癌細胞をヌードマウスの皮下に局注したxenograftモデルでも、抗NRDc抗体の局所投与によって、癌細胞の増殖が抑制されることも確認できた。 3.NRDcノックアウトマウスの解析により、肝発癌の母地となる肝繊維化がNRDcの欠損によって抑制されることが示された。 これらの検討を通じて、NRDcの消化器癌進展における役割を明らかにし、将来的な臨床応用へ向けた基礎的治験を得ることができた。
|
-
[Journal Article] Deletion of nardilysin prevents the development of steatohepatitis and liver fibrosis.2014
Author(s)
Ishizu-Higashi S, Seno H, Nishi E, Matsumoto Y, Ikuta K, Tsuda M, Kimura Y, Takada Y, Kimura Y, Nakanishi Y, Kanda K, Komekado H, Chiba T.
-
Journal Title
Plos One
Volume: 9
Pages: e98017
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant