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2012 Fiscal Year Research-status Report

胃炎からの炎症性発癌過程における幹細胞の役割

Research Project

Project/Area Number 24590916
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

上尾 太郎  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30569611)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords胃炎 / 胃癌 / 幹細胞 / 癌幹細胞
Research Abstract

慢性胃炎により生じる組織変化での胃粘膜上皮幹細胞の役割を検討するため、幹細胞を追跡できるLgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスを作成し、H.felisを感染させた。既報と同様に、H.felis感染早期(感染後4から6か月)には、胃前庭部は過形成を呈し、一方で、胃体部は壁細胞や主細胞が減少し、前庭部様の化成が出現することが確認された。さらに、この感染早期において除菌治療を行うと、これらの病理変化も改善することを確認した。H.felis感染早期のLgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスの胃を用いて、GFPに対する免疫染色を行い、炎症による幹細胞の数や位置の変化を検討中である。また、タモキシフェン投与後の幹細胞の娘細胞の追跡を行い、炎症時にも正常組織同様に、Lgr5陽性幹細胞により上皮細胞全体が再生されているのかも解析中である。さらに、このH.felis感染早期のLgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスの胃より、FACSを用いて、GFPにより選別することで、Lgr5陽性幹細胞の回収を試みている。回収したLgr5陽性幹細胞を用い、次世代シークエンサーにて遺伝子異常の有無に関する解析にも取り組んでいる。
さらに、H.felisを感染させなくとも、胃に慢性炎症が自然発症し、生後10か月ごろより腫瘍ができるK19-Wnt1/C2mE マウスを導入し、これとLgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスとを交配させ、K19-Wnt1/C2mE/Lgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスを作成中である。今後このマウスの胃に関しても、慢性的な炎症刺激により、Lgr5陽性幹細胞の数や分布、その挙動がどうなるかを検討予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の実験計画書にしたがい、正常胃粘膜の幹細胞であるLgr5陽性細胞の、胃炎や胃腫瘍発生における役割に注目した実験を進めている。実験の性格上、非常に煩雑なマウスの交配管理を要するが、H.felis感染Lgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスと、K19-Wnt1/C2mE/Lgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスを作出し、両マウスをもちいて、炎症により過形成や化生を呈した組織におけるLgr5陽性幹細胞の数や分布、挙動に関して解析中である。また、両マウスを比較することで、炎症や感染による自然免疫が、幹細胞制御にどのように関与しているかについても検討中である。さらに、FACSを用いて、Lgr5陽性幹細胞を回収し、次世代シークエンサーによって、慢性炎症により胃の上皮幹細胞にいつごろから、どのよな遺伝子異常が蓄積されていくのか、を解析中である。さらに、この回収したLgr5陽性幹細胞を培養し、オルガノイドと呼ばれる胃の組織の再現にも着手しており、この実験によって、炎症による遺伝子異常の蓄積の結果、どのような上皮が再現されるのか、を検討予定である。

Strategy for Future Research Activity

H.felis感染後期(感染12か月から18か月目)の胃における幹細胞制御に関する検討も開始する方針である。この時期には、胃前庭部の腺管底部に粘液産生細胞が出現し、さらに核異型も認められ、ディスプラジアと呼ばれる組織変化を呈す。この時期に除菌をしても、この組織変化は改善しない。また、今回導入したK19-Wnt1/C2mE/Lgr5-EGFP-ires-CreERT2/ROSA-LacZマウスにおいても、生後8か月をすぎると、長期の炎症刺激にて、胃にディスプラジアが出現し、生後10か月目には腫瘍が出現してくる。両マウスにおける炎症後期の非可逆的な組織変化やそれに引き続いておこる腫瘍形成において、正常上皮と同様に、Lgr5陽性幹細胞により組織が維持されているのか、を検討していく予定である。具体的には、免疫染色による幹細胞の数やその分布の変化に関する検討、タモキシフェン投与による娘細胞の追跡、FACSによるLgr5陽性幹細胞の回収と次世代シークエンサーによる遺伝子異常の分析等を計画している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Dclk1 distinguishes between tumor and normal stem cells in the intestine.2013

    • Author(s)
      Nakanishi Y
    • Journal Title

      Nature Genetics

      Volume: 45(1) Pages: 98-103

    • DOI

      doi: 10.1038/ng.2481

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] The role of Hes genes in intestinal development, homeostasis and tumor formation.2012

    • Author(s)
      Ueo T
    • Journal Title

      Developmant

      Volume: 139(6) Pages: 1071-82

    • DOI

      doi: 10.1242/dev.069070

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Notchシグナルは消化管上皮細胞の分化と癌化にどのようにかかわっているのか2012

    • Author(s)
      上尾太郎
    • Journal Title

      分子消化器病

      Volume: 9(4) Pages: 325-329

  • [Presentation] Hesは、大腸上皮幹細胞の分化や増殖を制御するのみならず、幹細胞の位置を規定し、他の細胞シグナルによる分化制御に関与する

    • Author(s)
      上尾太郎
    • Organizer
      第98回日本消化器病学会総会
    • Place of Presentation
      京王プラザホテル(東京)
  • [Presentation] 腸腫瘍幹細胞特異的マーカーdcamkl1の同定

    • Author(s)
      中西祐貴
    • Organizer
      第98回日本消化器病学会総会
    • Place of Presentation
      京王プラザホテル(東京)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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