2012 Fiscal Year Annual Research Report
複数の機能的マーカーを用いた炎症性腸疾患における腸炎惹起性メモリー幹細胞の探求
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24590933
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
根本 泰宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20456213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メモリーT細胞 / IL-7 / CD4 / 長期培養 / 炎症性腸疾患 / メモリー幹細胞 |
Research Abstract |
少数の細胞集団に照準を絞った、より有効かつ安全な炎症性腸疾患分子標的治療の開発を目的として、炎症性腸疾患モデルマウスにおける腸炎惹起性メモリーCD4+ T細胞のうち、腸炎誘導能、生存能の高い“腸炎惹起性メモリー幹細胞”の存在を検証するため以下の研究を行った。 メモリーT細胞維持因子であるIL-7によって腸炎惹起性メモリーT細胞をin vitroで長期間培養する事によって、より生存能の高い細胞集団の選別を試みた。 CD4+CD45RBhigh T細胞移入腸炎マウス大腸粘膜CD4+メモリーT細胞を、TCR刺激を行わずにIL-2、IL-15、IL-7の添加にて培養したところ、IL-7のみ4週間培養可能であり、CFSEによる細胞分裂の解析ではメモリーT細胞は抗原消失後の生体内と同様に、quiescentな状態で維持されており、週1回程度の間欠的な分裂が見られた。腸炎マウスの脾臓、骨髄、腸間膜リンパ節CD4+メモリーT細胞もIL-7単独で培養可能であったが、正常マウスのCD4+ T細胞はIL-7単独培養では4週間生存できなかった。8週間培養後の腸炎マウス大腸粘膜CD4+メモリーT細胞は抗アポトーシス分子であるBcl-2を培養前に比して著明に高発現しており、更に腸管粘膜へのhoming receptorとリンパ節へのhoming receptorを合わせ持ち、メモリーマーカー、エフェクターマーカーを同時に発現する、既存の分類には当てはまらない新たな細胞分画としての特徴を有していた。IL-7単独で4週間培養した大腸粘膜CD4+メモリーT細胞と8週間培養した大腸粘膜CD4+メモリーT細胞を新たなSCIDマウスに移入したところ、後者の方で強い腸炎を発症した。 IL-7による腸炎惹起性メモリーT細胞の長期培養法によって、生存能、腸炎惹起能の強いユニークな細胞集団が同定された。
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Research Products
(10 results)