2013 Fiscal Year Research-status Report
画期的中和抗体定量法を用いたクローン病の生物学的製剤個別化投与アルゴリズムの構築
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24590940
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252395)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / インフリキシマブ / アダリムマブ |
Research Abstract |
キメラ型抗TNF-α抗体製剤のインフリキシマブの血中濃度、中和抗体濃度の測定系を確立し、それらの臨床応用を開始した。クローン病を対象とした場合、インフリキシマブに関しては臨床的寛解の維持には1μg/mlの血中濃度がトラフ値として必要であり、抗インフリキシマブ中和抗体濃度が10μg/ml以上の症例では有意に血中インフリキシマブトラフ値が低値を示した。また、便中のカルプロテクチン正常値の維持には1μg/mlのインフリキシマブトラフ値で十分であったが、内視鏡的な粘膜治癒を達成するためには4μg/mlのインフリキシマブトラフ値が必要であった。 ヒト型抗TNF-α抗体であるアダリムマブの血中濃度のELISA測定系を確立した。ヒト型IgG製剤の濃度測定系確立における重要なポイントは、いかに正常IgGの非特異的結合すなわちバックグラウンドを抑えるかがポイントであるがブロックレスEIAプレートを用いることにより非特異的IgG結合をほぼ完全に抑えることができた。CRP陰性(0.3<mg/dl)を維持するためにはアダリムマブ5.9μg/mlの血中濃度が必要で、健常人のデータを基に抗アダリムマブ抗体陽性値は1.1μg/mlをカットオフ値とした。抗アダリムマブ抗体濃度は、以前にインフリキシマブの投与を受けた経験のある症例で有意に高く、また、このような症例ではアダリムマブ血中濃度が有意に低かった。 今後、これらの測定系を用いてクローン病におけるこれら測定系を用いた薬理動態的な解析から、炎症性腸疾患の個別化治療の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は目標を十分達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる症例の解析の蓄積から、炎症性腸疾患個別化治療の確立を目指す。
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