2014 Fiscal Year Annual Research Report
画期的中和抗体定量法を用いたクローン病の生物学的製剤個別化投与アルゴリズムの構築
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24590940
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 内科 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
IFXの維持療法を受けている患者のIFX投与直前の血中IFX濃度をIFX値とし、このIFX値とATI濃度からクローン病の病態を解析した。58人の患者の解析から、ATI陰性の患者に比べてATI陽性の患者ではIFXトラフ値が有意に低く、血中TNF-α濃度が有意に高かった。健常人より得られた数値から、ATIのカットオフ値を10.2μg/ml、IFX トラフ値のカットオフ値を1μg/mlに設定し、臨床経過を解析した。図1に示すごとATI陽性、トラフ値カットオフ以下の患者の多くが二次無効となりIFXの効果減弱例と判断された。ただ、これらの患者のATI力価にはばらつきが認められ、非常に高値を示す患者に比べ、ATIカットオフ値近傍の患者が多く認められた。 ATI陽性にもかかわらずトラフ値陽性でIFXの効果が持続している患者は、血中のATIがIFXに対する中和活性を持っていないと考えられる。ATI陽性、トラフ値陽性で二次無効となっている患者では、現在の病態形成にTNF-αの関与が低いと考えられADAの効果も期待できない。TNF-α以外の治療標的を目指す治療への変更が必要と考えられる。 ATI陰性の患者の多くは良好な経過であるが、数人の患者ではインフリキシマブトラフ値が非常に高いにもかかわらずインフリキシマブの効果が得られていない患者が存在する。これらの患者ではインフリキシマブの消費が低い、すなわち現在の病態にTNF-αが関与していないと考えられる。これらの患者は内視鏡検査でも活動病変は認められず、CRPも陰性で、過敏性腸症候群の治療が奏功した。
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