2012 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患大腸発癌における低分子量GTP蛋白Ralの機能解析
Project/Area Number |
24590941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲瀬 裕志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60362498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性大腸発癌 / Ral / IL-17 |
Research Abstract |
第1に,申請者らはRal-GAPα2KOマウスおよび野生型マウスに対してデキストラン硫酸投与による急性および腸炎モデルを作製し、腸炎誘導後の組織の炎症の程度の評価,および組織中のサイトカイン産生の評価を行った。その結果、Ral-GAPα2KOは野生型マウスに比し、非常に激しい急性腸炎が生じることが確認された。組織中の炎症性サイトカインではIL-17の発現が野生型マウスに比べて、Ral-GAPα2KOマウスにおいて高いことが示された。この結果から、Ralは炎症腸管局所におけるIL-17産生に重要な役割を果たすことが示唆された。 第2に,マウスに大腸指向性の変異原Azoxymethane (AOM) 2.5mg/kgを腹腔内投与後、2.5%デキストラン硫酸 (DDS)の経口投与(1週間投与:2週間休薬)を3サイクル繰り返すことにより、炎症性大腸癌を誘導した。野生型マウスに比べてRal-GAP遺伝子欠損マウスでは、平坦型の大腸腫瘍が生じ、この腫瘍はIBD関連の前癌病変と考えられるdysplasiaの形態に非常に類似していることが示唆された。 さらに、野生型マウス骨髄を移植したRaGAPα2KOマウス(WT→RalGAPα2 KO)を作製し、これらのマウスに対して、AOM+デキストラン硫酸投与による炎症性大腸癌を誘導した。現在、このマウスを用いて、腸管上皮の免疫担当細胞(NK細胞、NKT細胞、macrophage, T細胞等)を単離し、Ral-GTPの発現量、活性、およびRal-GAPの発現量やサイトカイン産生能等を評価し、炎症性大腸発癌おける各免疫担当細胞の役割、Ralによる制御機構の解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年の研究計画は主として(1) 急性および慢性炎症におけるRalの機能解析(2) 腸管上皮細胞のRalの発現に影響を及ぼすサイトカインの検討であった。(1)については、Ral-GAPα2KOマウスにおいて、非常に激しい急性腸炎ならびに慢性腸炎が誘導されることが明らかとなった。加えて、我々は組織中のIL-17の発現が野生型マウスに比し、Ral-GAPα2KOマウスにおいて高いことを見出した。RalがIL-17発現に特異的に関与することが示唆され、今後の炎症性発癌のメカニズムの解明につながる可能性をみいだした。(2)については、in vivoでのRalの炎症性大腸発癌の評価を行うため、野生型マウス骨髄を移植したRaGAPα2KOマウス(WT→RalGAPα2 KO)を作製し、これらのマウスに対してAOM+デキストラン硫酸投与による炎症性大腸癌を誘導した。現在、このマウスから腸管上皮を単離し、Ralによる制御機構の解明に取り組んでいる。このように、申請者の計画通りに実験はほぼ遂行されているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに記載したように、申請者の研究計画は順調にすすんでいる。申請した研究計画に加え、Ralが炎症局所のIL-17産生に強く関与していることが明らかとなった。したがって、RalとIL-17の関連については、未だに報告はなく、IL-17産生の新たなメカニズムの解明ならびにIL-17の炎症性大腸発癌における役割も解明していきたい。加えて、人炎症性大腸発癌検体を用いた解析を継続する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)