2012 Fiscal Year Annual Research Report
大腸発癌におけるACF-SSA/P-cancer sequenceの証明
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24590942
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 耕一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60531374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 哲治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10284994)
宮本 弘志 徳島大学, 大学病院, 助教 (90398024)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ACF / SSA/P / DNAメチル化アレイ |
Research Abstract |
大腸鋸歯状病変の一つであるsessile serrated adenoma /polyp(SSA/P)は、右側結腸に好発し、癌化ポテンシャルが高いことが報告されているが、その発生機序及び発癌機序は不明である。今回、我々は大腸微小病変であるaberrant crypt foci(ACF)がSSA/Pの前病変であると仮定し、ACF-SSA/P-cancer sequenceを立証することを本研究の目的とした。 まず、SSA/P症例ならびにSSA/P合併癌症例を対象に拡大内視鏡を用いて右側結腸のACFを観察し、SSA/P及び癌患者におけるACFの数や大きさを解析して健常人と比較検討した。15人の健常人、40人のSSA/P患者、2人のSSA/P合併癌患者の右側結腸ACFを観察したところ、それぞれ平均0.13±0.33個,3.95±2,14個、7.24±1.67個のACFを認め、健常人、SSA/P患者、SSA/P合併癌患者の順に平均ACF数の増加を認めた。また生検組織では、一部のACFがSSA/Pと類似の病理所見(腺底部の腺管拡張、分岐)を有していた。また、SSA/Pや右側結腸癌ではBRAF変異やいくつかの遺伝子メチル化が報告されていることから、ACF、SSA/P、SSA/P合併癌のKRAS,BRAF変異、DNAメチル化アレイMicroarray-based Integrated Analysis by Isoschizomer(MIAMI)法を用いてメチル化遺伝子を網羅的に解析した。KRAS変異はACF、SSA/P、癌の順にそれぞれ15×15%,0%、BR《F変異はそれぞれ70%, 80%, 100%であり、高頻度にBRAF変異を認めた。また、MIAMI法ではACF、SSA/P、癌のメチル化されていた平均遺伝子数はそれぞれ9.4個、37.2個、152.6個認め、ACF、SSA/P、癌の順に増加していた。またMIAMI法で確認した遺伝子の内、ACF、SSA/P、癌に共通に認められた遺伝子を7遺伝子認め、ACF-SSA/P-cancer sequenceにおいて極めて重要な遺伝子と考えられた。またそれらをMSP法にて確認した。つまり、ACFの段階からBRAF変異と限られた遺伝子のメチル化を認め、SSA/Pではさらにメチル化された遺伝子が蓄積し、癌ではP53変異やMLH1遺伝子などの重要な遺伝子のメチル化が生じていることが証明された。つまり、ACFからSSA/Pに進展し、SSA/Pから癌に進展する機序を分子生物学的手法により解明することができた。
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Research Products
(1 results)