2012 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍壊死因子前駆体と産生酵素に介在する膜蛋白機能解析と新規抑制法の開発
Project/Area Number |
24590949
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
城 卓志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30231369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 諭史 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528782)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / TNFα / ADAM17 / ARP36-2 / 新規治療ターゲット |
Research Abstract |
【目的】炎症性腸疾患は、遺伝的背景や外的因子に対する過剰免疫反応が腸管粘膜傷害を起こす。TNFαはその病態において中心的役割を果たす。抗TNFα抗体治療は、有効な治療であるが、無効例や二次無効が存在する。膜結合型TNFαは、ADAM17により可溶型TNFαに切断・放出される。ADAM17が放出する蛋白は2型膜蛋白TNFαのほか、1型膜蛋白のAmphiregulin(AR)、HB-EGFなどがある。ARP36は、ADAM17によるAR、HB-EGFの放出を制御する。今回、単球細胞、大腸上皮細胞に発現しているARP36-2に着目し、TNFα放出制御機構について検討した。 【方法】大腸上皮細胞株(HCT116、HT29)単球細胞株(U937)を使用した。ADAM17とARP36-2との結合を確認するために抗ARP36-2抗体で免疫沈降後、抗ADAM17抗体にてwestern解析した。TNFα,EGFRリガンド放出測定系確立のため、Alkaline phosphatase(AP)標識TNFα,AR,HB-EGF前駆体蛋白強発現細胞株を樹立した。IL-1β、TPAで刺激後上澄中のAP活性を測定した。さらに、ADAM阻害剤(KB-R7785)、ARP36-2 siRNAによりARP36-2蛋白を欠失後、AP活性を測定した。ELISAでもTNFα放出を直接測定した。 【結果】免疫沈降により、ADAM17とARP36-2は結合した。APアッセイにおいてIL-1β、TPA刺激後TNF-α放出が確認された。その活性上昇は、ARP36-2 siRNA、KB-R7785前処置により有意に抑制された。AR,HB-EGF放出は、ARP36siRNA前処置により促進した。 【結論】ARP36-2阻害は、炎症を抑え、増殖・修復効果を促進する新たな治療戦略になりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. ARP36-2が、細胞膜上でADAM17、TNFαとどのような形で複合体形成をしているか を明らかにする。TNFαとARP36-2さらにはADAM17とARP36-2の結合を免疫沈降にて評価する。これは、ARP36-2は、ADAM17と直性結合していることを明らかにした。 2. どのような刺激の時に単球および大腸癌細胞株細胞膜上のARP36-2は、活性化するのかを明らかにする。炎症性腸疾患腸管炎症活動期に関与すると考えられている各種サイトカイン、炎症惹起物質にて刺激し、AP-TNFαを使って解析する。このときARP36-2をsiRNAで欠失させ、TNFα放出が抑制されるかどうかも検討する。IL-1β、TPAで刺激時TNFαを放出され、その放出はARP36-2をsiRNAによって欠失させると抑制されることを明らかにできた。 また、AP標識AR,HB-EGF前駆体蛋白強発現細胞株使った測定系にてAR,HB-EGF放出は、ARP36siRNA前処置により促進することも明らかにでき、ARP36-2阻害は、炎症を抑え、増殖・修復効果を促進する新たな治療戦略になる可能性があることを明らかにした。 以上により、研究目的をおおむね達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ARP36-2遺伝子ノックアウトマウス(ARP36-2-/-)を確立する。TNBSやDSS惹起炎症性腸疾患腸炎モデルからARP36-2が治療ターゲットになりうるかを検討する。 2.ARP36-2中和抗体作製および新規治療法の開発。TNBSやDSS惹起腸炎モデルにARP36-2中和抗体を投与し、病理学的、粘膜内サイトカインを測定し治療効果を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.ARP36-2遺伝子ノックアウトマウス(ARP36-2-/-)を確立する。TNBSやDSS惹起炎症性腸疾患腸炎モデルからARP36-2が治療ターゲットになりうるかを検討する。 上記の目的を達成するため、ノックアウトマウス作製を行っている。作製費用に研究費を使用する。 2.ARP36-2中和抗体作製および新規治療法の開発。TNBSやDSS惹起腸炎モデルにARP36-2中和抗体を投与し、病理学的、粘膜内サイトカインを測定し治療効果を評価する。 現在、中和抗体作製にも取りかかっている。作製費用に研究費を使用する。
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Research Products
(6 results)