2012 Fiscal Year Research-status Report
肝移植後の肝癌再発機序におけるNK細胞機能の重要性と免疫監視破綻機序の解明
Project/Area Number |
24590963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山際 訓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10419327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20422602)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝移植 / 肝細胞癌 / NK細胞 / 免疫監視 |
Research Abstract |
1. 症例の選定,肝組織と末梢血の採取,臨床データ・治療経過のまとめ 新潟大学医歯学総合病院で生体肝移植を施行された肝細胞癌症例および肝細胞癌非合併肝硬変症例より適切に肝生検組織と末梢血の採取を行い,研究に使用するとともに病理組織学的に評価して臨床データおよび治療経過とともに検討した。今年度は当施設での肝移植件数が少なかったため,対照として移植施行例以外の肝細胞癌症例についても検討を行った。 2.NK細胞レセプターや細胞傷害性リガンド,サイトカイン・ケモカインレセプター発現の網羅的解析 フローサイトメトリーと免疫組織染色によりNK細胞レセプターと活性化マーカー,TRAILなどの細胞傷害活性に関与する分子に関して,末梢血と肝組織を用いた検討を実施した。移植例の検討のみでは対象症例が現時点では十分ではないため,担癌状態や免疫抑制下におけるNK細胞分画や活性化状態の変化などについては移植前後で結論的な結果は得られていないものの,非移植例における検討では切除前後で末梢血中のNK細胞分画やある種のレセプター発現に変化が認められた。 3.肝組織中のNK細胞レセプターリガンド発現と血清中の可溶型NK細胞レセプターリガンドの測定 NK細胞機能に関与する可溶型NK細胞レセプターリガンド(sMICA)についても手術前後の血清を用いてELISAにより検討した。既報の通りではあるものの,肝細胞癌非合併症例と比較して肝細胞癌症例でsMICAは高値を示した。さらにMICAに対する抗体もLuminex法により現時点で測定しえた肝細胞癌症例32例中8例で陽性であった。肝細胞におけるNK細胞レセプターリガンド発現に関しては,肝癌細胞株や不死化肝細胞株を用いてサイトカインなどによる刺激での発現変動に関してもin vitroでの検討を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設での肝移植実施症例や移植後の肝生検実施症例が予定よりも少なく,当初計画より研究の進行はやや遅れているものの,非移植例の肝細胞癌症例,特に肝切除施行例を中心に肝組織と末梢血を用いた検討を継続しており,一定の成果は得られていると考えている。また,研究計画では肝癌細胞株に対するNK細胞機能についてin vitroにおける検討を今年度中に予定していたが,現時点では肝癌細胞株におけるNK細胞レセプターリガンド発現のin vitroでの解析にとどまっており,今後NK細胞機能についての解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまでの手技・手法による肝組織と末梢血を用いたNK細胞分画やNK細胞活性化状態,レセプター発現に関する解析を継続して検討症例を蓄積するとともに,免疫抑制下での肝炎再発時の肝生検も移植外科医の協力のもとで実施し,特に肝細胞におけるNK細胞活性化レセプターリガンド発現とNK細胞との相互作用や炎症に伴うサイトカイン・ケモカイン上昇とNK細胞機能との関連について検討し,免疫抑制剤によるT細胞応答抑制下におけるNK細胞機能および肝癌腫瘍細胞自体の免疫学的特性による免疫病態への影響と肝細胞癌再発との関連についての検討を進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として140,657円の記載があるが,40,657円は年度内に使用済であり,分担研究者へ配分した物品費100,000円を次年度に使用させていただく。分担研究者による今年度の研究の実施には,以前から使用している試薬・抗体類などで問題は無かったが,次年度には必要となる試薬類の購入に使用予定である。その他については,研究計画通りの使用を予定している。
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Research Products
(3 results)