2014 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた肝線維化の発症機序の解明と新規治療法の開発
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24590967
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩佐 元雄 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GABAZZA Esteban 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293770)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルコール性肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】アルコール性肝障害(ALD)は、エタノール(EtOH)自体による肝毒性のみではなく、免疫異常が発症要因となっている。NKT細胞はCD1dを認識しIFNやIL-4を分泌する免疫細胞であるが、ALDの病態形成への関与も推定されている。一方、Protein S(PS)は肝で産生されるビタミンK依存性蛋白であるが、アポトーシス抑制作用が注目されている。本研究では、PSが急性ALDにおいてアポトーシス抑制を介して肝保護的に働くという作業仮説に基づき臨床的・基礎的研究を施行した。 【方法】臨床検討:アルコール性肝炎、健常者を対象に、肝生検、肝切除検体を用いたPS、CD1dの組織染色、PCRによる発現量評価、血漿を用いたPS濃度測定を行った。基礎検討:ヒトPS過剰発現(TG)マウスにEtOHを腹腔内投与する急性ALDモデル、同マウスの単核細胞MNCsを用いたin vitroの検討を施行した。 【成績】臨床検討:肝炎で血中AST、GTP、PSレベル、PSおよびCD1dの陽性肝細胞は有意な増加を示し、VA24JAQ(NKT細胞マーカー)、炎症性サイトカイン、Fas、FasL、caspase 3も強発現しており、アルコール性肝炎ではPS産生増加、NKT細胞活性化、肝細胞のアポトーシス亢進が示唆された。基礎検討:PS-TGマウスへのEtOH投与によりALT、IFN、TNF-αの上昇、肝脂肪化が観察された。in vitroの検討で、肝障害にはPSを介したNKT細胞のアポトーシス抑制が関与していた。次に、NKT細胞のPS受容体がMerであることを証明、Mer抗体によりNKT細胞のアポトーシス抑制が生じないこと、PSがAkt経路を活性化させること、EtOH自体による肝細胞のCD1d発現亢進が肝障害へ関与することを確認した。 【考案】急性ALDでは、PSの産生亢進、EtOHによる肝細胞のCD1d発現亢進、過剰なPSによるNKT細胞のアポトーシス抑制が相互に作用し病態を形成している。慢性期におけるPSの関与が課題に残るが、PSの制御がALDの治療ターゲットとなり得る。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Protein S exacerbates alcoholic hepatitis by stimulating liver natural killer T cells.2015
Author(s)
Chelakkot-Govindalayathil AL, Mifuji-Moroka R, D'Alessandro-Gabazza CN, Toda M, Matsuda Y, Gil-Bernabe P, Roeen Z, Yasuma T, Yano Y, Gabazza EC, Iwasa M, Takei Y.
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Journal Title
J Thromb Haemost.
Volume: 13(1)
Pages: 142-154
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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