2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢による肝疾患の病態制御の分子基盤の解明―特にSIRT1の機能解析―
Project/Area Number |
24590968
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
白木 克哉 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90263003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 和史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60378370)
内田 和彦 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90211078)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 加齢 / ヒストン / SIRT1 |
Research Abstract |
慢性肝疾患においては、例えば、C型肝炎は50歳代以降急速に線維化が進展することが知られているし、C型肝炎に対するインターフェロン治療は加齢に伴いその有効率は低下することが判明している。また、高齢になれば、肝細胞癌の発現率が上昇し高発癌状態であるとされている。また、生体肝移植においても30歳代のグラフトは高齢者のグラフトと比較し明らかに、生着率がよく良好な経過をとることが判明している。また、脂肪性肝炎においても加齢がすすむにしたがって重症度や合併症が増加することが知られている。このような臨床上のエビデンスからも加齢と肝疾患の密接な関連性が示唆されるが、その分子機構はあきらかになっていない。 本年度は、生体肝移植ドナーの凍結肝臓組織を多数保存おり解析した。生体肝移植ドナーの肝臓は各種臨床検査において病気を保持しない人正常の肝臓のサンプルであると考えられる。また、20歳代から50歳代と若年者から中高年者まで分布しており。加齢による肝臓の分子基盤の変化を解析するために極めて適していると考えられる。我々は、このサンプルを用いDNAチップにて遺伝子発現を網羅的に解析して年代毎に発現が異なる分子を解析した。また、これらの分子発現の変化を包括的に解析し、その変化の上流にある分子の1つとしてSIRT1を同定した。さらなる、アップストリーム解析によりヒストン関連分子、特にアセチル化にかかわる機構が加齢とともにダイナミックに変動することを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢に伴い変化する遺伝子群の同定を網羅的、包括的にほぼ終了した。またそれらにかかわる分子の包括的解析もほぼ終了したため、次の研究ステージにすみやかに移行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
主にSIRT1の機能解析を中心に研究をすすめていきたいと考えている。1.正常肝および各種肝疾患におけるサーチュインファミリーの発現(mRNAおよびタンパク)の解析。2.肝細胞におけるSIRT1の標的分子の検討。3.SIRT1の機能解析:肝細胞のサイトカインや酸化ストレスによる細胞死やDNA修復に対するSIRT1の機能を解析。 また、SIRT1ノックアウトマウスを作成中であり、マウスモデルの確立を目標としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に研究消耗品(研究試薬、培養細胞消耗品等)に充当する。また国内学会発表に100千円計上する。
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