2013 Fiscal Year Research-status Report
微小環境変化による肝癌細胞の上皮間葉移行とオートファジーの関連について
Project/Area Number |
24590983
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 一彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00264218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮明 寿光 長崎大学, 大学病院, 助教 (20437891)
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Keywords | 上皮間葉移行 / 肝癌細胞 / 微小環境変化 / microRNA-122 |
Research Abstract |
課題である、微小環境変化による肝癌細胞の上皮間葉移行とオートファジーの関連について研究を行った。先ず、高インスリン環境並びに分岐鎖アミノ酸欠乏状態が肝癌細胞の血管内皮増殖因子(VEGF)産生に及ぼす影響について以下の結果を得た。高インスリン培養条件下では、肝癌細胞からのVEGF産生が亢進すること、この現象は低分岐鎖アミノ酸培養条件下で促進され、分岐鎖アミノ酸の補充により減弱することが明らかとなった。その機序として、低分岐鎖アミノ酸培養条件下ではVEGF mRNAの半減期が延長し、分岐鎖アミノ酸の補充によりVEGF mRNAの分解が促進され、半減期が短縮することが明らかとなった。すなわち、インスリンと分岐鎖アミノ酸は肝癌の増大に関わる増殖因子であるVEGF産生に対して、相反する作用を持つことが示唆された。 次に、肝細胞増殖因子(HGF)よる肝癌細胞の上皮間葉移行におけるmicroRNA-122の発現をリアルタイムPCRで検討した結果、HGFによりEカドヘリンの発現低下、細胞運動の亢進の見られる数時間前より、microRNA-122の発現低下が認められることが明らかとなった。 次に、microRNA-122を強制発現するアデノウイルスベクターを作成し、各種肝癌細胞に感染させた結果、microRNA-122の発現が著明に上昇することが確認され、このウイルスベクターによりmicroRNA-122を強制発現後、HGFを添加するとEカドヘリンの発現低下がみられなくなり、HGFによる上皮間葉移行が抑制されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微小環境変化と肝癌細胞について、高インスリン、低分岐鎖アミノ酸とVEGF発現に関する研究成果を論文化できた。また、肝癌細胞の 上皮間葉移行(EMT)と共に肝特異的microRNAであるmicroRNA-122の発現低下が生じることを見出した。さらに、microRNA-122強制発現アデノウイルスによる実験も順調に進んでいる。しかし、オートファジーに関する実験はいまだ一定の結果を得るに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点をさらに詰めて検討を行いたい。 microRNA122の発現低下がHGF以外のEMT誘導条件下で起きうるかどうか? microRNA122の発現低下はEMTの原因なのかそれとも結果か? microRNA122の遺伝子導入ないし発現阻止によりEMTにどのような影響が起きるか? microRNA122発現変化とオートファジーに関連性があるか?
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