2012 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌に対する三重特異性ヒト型カイコ抗体を用いた治療法の開発
Project/Area Number |
24590986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗体治療 |
Research Abstract |
平成24年度は以下の実験を行った。これまで作成してきた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するin vitroにおける抗腫瘍効果の検討を行った。1)in vitroにおけるADCC活性については、ヒトPBMCを用い、FGFR-1発現腫瘍細胞の細胞増殖率をMTSアッセイとLDHアッセイにて測定した。結果はin vitroにおいて、ある程度のADCC活性の増強が認められた。2)FGFR-1発現細胞への結合活性をFACSを用いて腫瘍細胞への結合性で検討した。結果は腫瘍細胞への十分な結合活性が認められた。3)IFN等を併用して、in vitroにおける抗腫瘍効果の検討を行った。IFNや5FUを用いる効果はIFNや5FU投与によりFGFR-1の肝がん細胞における発現誘導を期待して行うものである。IFN単独投与群、5FU単独投与群、抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型抗体単独投与群、IFNに5FUを併用する群、IFNに抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型抗体を併用する群に分け、それぞれFGFR-1発現ヒト肝癌細胞に対する細胞増殖抑制効果をMTSアッセイを用いて検討した。さらにアポトーシス誘導能をTUNEL法およびtripan blue染色法を用いて検討した。結果は、いずれの群においても細胞増殖抑制効果は認められた。特に、IFNと5FUを併用する群に強い増殖抑制効果を認めた。また、IFNに抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型抗体を併用する群でも増殖抑制効果を認めた。そのいずれにもアポトーシスの誘導は認められた。これらのin vitroにおける実験の結果をふまえ、さらにマウスを用いたin vivoの実験を行うべく、抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型抗体の調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究計画は、これまで作成してきた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するin vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果の検討を行い、さらに、トランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の作成を行うものであった。しかしながら、現在は抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するin vitroの実験まで行った状況となっている。すなわち作成した抗体の基礎的な実験は終了したが、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するマウスを用いたin vivoの実験には進んでいない状況にある。以上より、現在の研究の進捗状況としては、基礎的実験は終了しているものの、研究計画としては「やや遅れている」と考えている。この進捗状況の遅れの最大の原因は、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)の調整に時間がかかっていることがあげられる。特に、CHO細胞を用いた抗体の作成が、予想をはるかに超えるほど時間を要しており、予定しているin vivoの実験を十分に行えない状況であることが最大の原因である。これまで行ってきた他の抗体の作成では十分な産生能を認めていたにもかかわらず、今回の抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体において産生能の低下が生じている。このことが平成24年度の研究進捗状況が遅れていることになった最も大きな原因となっている。三重特異性抗体化がその原因であるのか、あるいは細胞自体によるものか、この原因を早急に解決していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、平成24年度に抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討に関しては、in vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果の検討まで行う予定で研究計画を立てていた。そしてその後、抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の作成を行う予定であった。しかしながら、結果的に抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するin vitroの実験までしか行えず、そのin vivoの実験まで取りかかることができなかった。そのため、結果として、抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の作成には至っていない状況にある。この平成24年度の遅れを挽回するため、平成25年度には、マウスを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討に関するin vivoの実験を早急に開始する予定である。さらに、このin vivoの結果をふまえ、平成25年度中には抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の作成およびその抗腫瘍効果の検討まで成し遂げたいと考えている。そのための方策としては、まず、CHO細胞の抗体産性能の改善を行うと同時に、これまでに調整できた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)を用い、ヒト肝がん細胞に対するin vivoの実験に早急に取りかかること。そして、それと並行して、トランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型カイコ抗体作成の手順を進める。このようにいくつかの実験を並行して進め、これまでの遅れを挽回していくことを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において、研究費を使用しきれず、次年度に使用する額として計上することになった原因は、平成24年度の研究が抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討に関して、in vitroにおける抗腫瘍効果の実験までしか行えなかったことが原因である。当初の研究計画では、平成24年度に抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討に関して、in vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果の検討まで行い、さらに、トランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型カイコ抗体作成まで行う予定で研究計画を立てていたものであり、結果的に抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対する抗腫瘍効果の検討に関して、in vitroの実験までしか行えず、そのため、主に、マウスを用いるin vivoの実験およびトランスジェニックカイコを用いる実験にかかる費用として平成24年度に計上した研究費が残り、それを次年度に計上することとなった。遅れている抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性ヒト型抗体(CHO細胞使用)のヒト肝がん細胞に対するin vivoにおける抗腫瘍効果の検討をまず最初に早急に行いたい。そして、これと並行して、トランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の作成を行いたい。これらの実験において、平成24年度からの研究費分を、まず使用させていただきたいと考えている。次に、本来の平成25年度分の研究費は作成する抗FGFR-1X抗CD3 Fc結合三重特異性ヒト型カイコ抗体の抗腫瘍効果の検討に使用させていただく予定である。
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