2013 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌に対する三重特異性ヒト型カイコ抗体を用いた治療法の開発
Project/Area Number |
24590986
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40332910)
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Keywords | 抗体治療 |
Research Abstract |
平成25年度は以下の実験を行った。これまで作成してきた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)のヒト肝がん細胞に対するin vitro実験の結果をふまえ、SCIDマウスを用いたin vivo実験を行った。SCIDマクスの皮下にHepG2細胞を移植し、腫瘍の形成を確認後、治療を開始した。以下の4郡に分けて実験を行った。コントロールとしてヒト型IgG抗体投与群、IgG抗体+ヒトPBMNC(末梢血単核球)投与群、抗FGFR-1抗体投与群としては、親抗体の抗FGFR-1抗体+ヒトPBMNC投与群、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体+ヒトPBMNC投与群を用いて行った。結果は抗FGFR-1抗体+ヒトPBMNC投与群、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体+ヒトPBMNC投与群で、コントロール群に比較して、有意な抗腫瘍効果の増強を認めた。しかしながら、抗FGFR-1抗体+ヒトPBMNC投与群、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体+ヒトPBMNC投与群の間においては、後者において抗腫瘍効果の増強を認めるも、有意な抗腫瘍効果の差を見いだせなかった。現在、再度、追試を行っているが、これまでのところ、明らかな有意差をもって、抗腫瘍効果の増強を示しているデータは得られていない。そのため、その後、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体の構造の改変を行っている。これまで、5種の構造の異なる抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体の作成を行い、その中から、in vitroで、よりADCC活性の増強を認めた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体を選択している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究計画では、これまで作成してきた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)のヒト肝がん細胞に対するin vitro実験の結果をふまえ、SCIDマウスを用いたin vivo実験を行うこと。さらにこれと並行してトランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性カイコ抗体の作成を行う予定であった。しかしながら、前者の抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)のヒト肝がん細胞に対するSCIDマウスを用いたin vivo実験において、in vitroで得られたような抗腫瘍効果が得られなかった。この原因としては、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)の抗腫瘍活性が親抗体の抗FGFR-1抗体を凌駕するほどの強力な効果ではなく、すなわち、in vitroにおいて認められたADCC活性の増強効果がin vivoでは期待されたほど得られなかったことに起因すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画では、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)のヒト肝がん細胞に対するSCIDマウスを用いたin vivo実験において、in vitroで得られたような抗腫瘍効果が得られなかった。この原因としては、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)の抗腫瘍活性が親抗体の抗FGFR-1抗体を凌駕するほどの強力な効果ではなく、期待されたin vivoにおけるADCC活性の増強が得られなかったことに起因すると考えられた。このことを改善することが、カイコ抗体の作成にあたって、前提条件として必要なことであり、現在、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)の構造改変を様々に行っている。今後、まずは、今年度前半に、これらの構造改変を行った抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)のADCC活性を含めたin vitroにおける抗腫瘍効果の増強を確認し、さらに、それらから選出したADCC活性の増強が期待できる抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)を用い、in vivoにおける抗腫瘍効果の改善を早急に確認し、今年度中に当初の目的のトランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性カイコ抗体の作成を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)の作成に終始し、まだトランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性カイコ抗体の作成までに至っていないことが次年度使用額が生じた最大の理由であると考えている。 まず、抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性抗体(CHO細胞)の構造改変を行っていくが、最大の目的であるトランスジェニックカイコを用いた抗FGFR-1X抗CD3 FC結合三重特異性カイコ抗体の作成を行い、その活性の確認まで行うことに主に研究費を使用させていただく予定である。
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