2014 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス制御をターゲットとした脂肪性肝炎の病態進展抑制の検討
Project/Area Number |
24590995
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今 一義 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30398672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池嶋 健一 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20317382)
川上 恭司郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, 研究員 (90589227)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 化学シャペロン / NAFLD / NASH / 肝細胞がん / エピジェネティクス / カルニチン / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果:初代培養肝細胞にトランス脂肪酸を添加したin vitroの系の解析を進めた。エライジン酸を添加して脂肪滴を形成させたマウス肝細胞では小胞体ストレスマーカーのeIF2αリン酸化およびGRP78の発現が亢進していることを発見し、化学シャペロンのフェニル酪酸(PBA)を培地に加えると、小胞体ストレスは抑制され、酸化ストレス刺激による細胞死が有意に減少した。また、肥満マウスKK-Ay+高脂肪食による、高度脂肪性肝炎モデルに対してもさらなる解析を行った。高度脂肪性肝炎マウスではSREBP1cおよびCPT1αが亢進して肝内カルニチン量が減少し、インスリン抵抗性の亢進、TNFαの増加、肝細胞アポトーシスが生じた。トレッドミル装置による運動負荷は単独でもSREBP1cを抑制したが、低脂肪食と併用することによって肝内カルニチン量を増加させ、低脂肪食によるインスリン抵抗性およびTNFα、肝細胞アポトーシスの減少効果をさらに促進した。 研究期間全体の成果:ストレプトゾトシン前処理+高脂肪食摂取マウスの実験系では、脂肪性肝炎から肝癌発症に至る過程で小胞体ストレスの亢進を介してDMNT1の発現が誘導されてエピジェネティックな変化が生じており、PBAで小胞体ストレスを抑制することによりこれらの病態が抑制されることを明らかにした。また、脂肪酸を加えた初代培養肝細胞の系ではトランス脂肪酸の添加により小胞体ストレスが亢進し、2次的酸化ストレスによる肝細胞死が誘導されることを示した。また、KK-Ayマウスに高脂肪食を摂取させた系では食事運動療法による脂肪性肝炎の病態改善にカルニチン代謝の制御が深く関与している可能性を示した。 これらの研究成果は本年度では欧州肝臓学会および国際アルコール医学生物学会で発表し、第50回日本肝臓学会総会の主題演題に採用された。現在は原著論文を作成し、英文誌に投稿中である。
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