2012 Fiscal Year Research-status Report
複製活性を保持した精製複製複合体からHCV複製に関与する宿主因子の同定と解析
Project/Area Number |
24591001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
相崎 英樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (00333360)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス |
Research Abstract |
HCV研究ではこれまでsubgenomic repliconやpseudoparticlesなどを用いて部分的にウイルス産生メカニズムの解明が試みられてきたが、培養細胞で効率よく増殖可能なウイルス株が存在しなかったため、生活環の解明には困難が多く、治療薬の開発も遅れてきた。2005年にHCVのウイルス培養細胞系が確立され、感染から粒子形成に至る全てのHCV生活環を一貫して解析することが可能となった。本研究ではこのJFH-1 株を用い、これまで十分に解析することが難しかったHCV生活環の解明、特にウイルス複製および翻訳に関わる宿主因子の同定、解析を目指している。我々は、C型肝炎ウイルスが細胞内のER膜をMembranus webと言う胞状の袋に変化さえ、この内部で複製および翻訳を行っていることを見出した。しかしながら、複製および翻訳の調整機構はわかっていない。そこで、複製に必須と考えられており、最近粒子形成にも重要であることが示されてきたNS5Aに注目し、HCV生活環に関与する宿主因子の同定のため、膜画分に含まれる蛋白のうちNS5A蛋白に結合する宿主因子を検索し、20種の新規宿主因子を同定した。同定された宿主蛋白についてsiRNAを用いてHCV翻訳および複製への関与を解析したところ、いずれにも関与する可能性のある蛋白が同定された。今後はその作用機序の詳細を明らかにし、生理作用も考慮しながら、宿主因子を標的とした創薬の可能性についても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに、pull-down法によりNS5A蛋白と特異的に共沈する宿主因子をプロテオーム解析した結果、20種の新規宿主因子を同定した。さらにsiRNAを用いた標的蛋白の発現抑制がウイルス複製および翻訳に与える影響を解析したところ、そのうち6種の蛋白がHCV産生に関与することが示唆された。今後はスクリーニングで絞られた候補蛋白について、shRNAや野生型/dominant negative体の発現プラスミドなどを用いて、ウイルス産生への関与を確認した後、全長ウイルス、レプリコンシステム、HCV pseudo-particlesなどを利用することで、HCV生活環のどの段階に影響するか、翻訳、複製、粒子形成に分けて解析し、HCV増殖メカニズムの解明を目指す。候補蛋白を縛り込むことができたので、ほぼ1年目の目標は達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)候補蛋白の siRNA、特異的阻害剤による細胞内HCV複製の阻害効果;同定した宿主因子について、siRNAを合成し、レプリコン細胞へ導入する。目的蛋白質の十分な発現低下を確認した後、HCV-RNA量への影響をリアルタイムRT-PCR法で解析する。さらに、特異的な阻害剤が存在する蛋白については、それを用いて複製に与える影響を調べる。 (2) 候補蛋白およびそのdominant negative体などの強制発現による細胞内HCV複製へ与える影響;同定した宿主因子をレプリコン細胞で強制発現させ、HCV-RNA量への影響をリアルタイムRT-PCR法で解析する。 (3)HCV複製複合体と同定した宿主蛋白の細胞内局在の免疫組織学的な観察;レプリコン細胞内で複製しているHCVゲノムをアクティブな状態で観察するため、Actinomycin D処理して細胞内のDNA dependent RNA polymeraseを抑えた上で、bromouridine triphosphate (BrUTP)を細胞に導入し、免疫組織染色で観察する。BrUTPが取り込まれた新規に合成されたHCVRNAと宿主因子の細胞内局在を蛍光顕微鏡で観察する。 3)宿主因子とHCV非構造蛋白、HCV-RNAとの相互作用の解析;(2)の解析を通じて、HCV複製に関与していることが示された因子について、HCV非構造蛋白質(NS3, 4A, 4B, 5A, 5B)との相互作用をエピトーグタグ免疫沈降法、two-hybrid法、pull-down法などで解析する。各NS蛋白の免疫沈降法の条件検討も終わっている。HCV-RNAと宿主蛋白の結合について、UV クロスリンク法で解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品類として2D-DIGE関連試薬、ウシ胎児血清、DMEM、TaqMan-PCR試薬、ELISA関連試薬、蛋白精製関連試薬等を購入する。プラスチック器具類として、細胞培養容器、ピペット類、手袋等を購入予定である。
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[Journal Article] Trans-complemented hepatitis C virus particles as a versatile tool for study of virus assembly and infection.2012
Author(s)
Suzuki R, Saito K, Kato T, Shirakura M, Akazawa D, Ishii K, Aizaki H, Kanegae Y, Matsuura Y, Saito I, Wakita T, Suzuki T.
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Journal Title
Virology.
Volume: 10
Pages: 29-38
Peer Reviewed
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[Presentation] Neutralizing antibodiesninduced by cell cultute-derived Hepatitis C virus was effective both in vitro and in vivo.2012
Author(s)
Akazawa D, Moriyama M, Yokokawa N, Watanabe N, Date T, Morikawa K, Aizaki H, Ishii K, Kato T, Nakamura N, Wakita T.
Organizer
19th International Meeting on Hepatitis C Virus and Related Viruses.
Place of Presentation
Italy
Year and Date
20121005-20121009
Invited
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[Book] 細胞2012
Author(s)
相崎英樹
Total Pages
in press
Publisher
ニューサイエンス社
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