2014 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎発症の分子メカニズムの解明と新たな膵炎治療法の開発
Project/Area Number |
24591004
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
真嶋 浩聡 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10261869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 洋英 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00313023)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵炎 / 膵外分泌 / S100g / Anxa10 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討で、膵炎発症に関与する遺伝子としてcDNAマイクロアレイ, qPCR等を用いて絞り込みを行い、最終的にカルシウム結合タンパクのS100gとAnxa10が候補として残った。本年度はこの二つの機能解析を行った。 まず初めにAR42J細胞を利用してS100g過剰発現細胞(AR42J-S100g)、Anxa10過剰発現細胞(AR42J-Anxa10)、コントロール細胞(AR42J-GFP)を樹立した。AR42J-S100gではCCK-8刺激によるアミラーゼ分泌の有意な低下がみられ、細胞内Ca2+濃度の上昇も抑制された。AR42J-Anxa10でも同様な傾向を弱いながらも認めたが、有意なものではなかった。 次に野生型マウスにセルレイン膵炎を惹起し、S100g、Anxa10の変化を検討した。セルレイン膵炎を起こすとS100gは約2.5倍の発現レベルの上昇がみられ、免疫組織化学では細胞質にpatchyに染色された。Anxa10は生理条件下のマウス膵では発現がなかったが、セルレイン膵炎によって発現がみられ、細胞質全体が染色された。 韓国Chungbuk National University のEui-Bae Jeung教授よりS100g KOマウスの供与を受けた。このマウスは生理条件下では異常を認めなかった。膵腺房を単離して、恒常性外分泌及びCCK-8刺激による調節性外分泌を検討した。S100g KOマウスにおいて両者ともに増加していた。次に、セルレイン膵炎を惹起してコントロールマウスと比較した。血清アミラーゼに変化はなかったが、膵炎スコア(浮腫、出血、壊死、炎症細胞浸潤)ではKOマウスが低い傾向があり、膵ホモジェネート中のトリプシン活性は有意に低下していた。S100g KOマウスでは膵炎が軽減する可能性があり、その機序として膵炎発症に伴う外分泌の低下が抑制され、膵内でのトリプシンの異所性活性化が抑制される可能性が考えられた。今後検討を重ねる必要がある。
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