2012 Fiscal Year Research-status Report
ペプチド製剤を用いたルミカンの特異糖鎖修飾制御による膵癌細胞増殖抑制法の開発
Project/Area Number |
24591019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 哲志 日本医科大学, 医学部, 助教 (20453920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ルミカン / プロテオグリカン / 膵臓癌 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
小型ロイシンリッチプロテオグリカンであるルミカンの発現は、膵臓癌細胞の増殖や浸潤に関与することを培養膵臓癌細胞の一つであるPANC-1細胞を用いた検討により、これまでに明らかにしている。 今回、ルミカンが膵癌細胞の増殖や浸潤に関与する際の細胞内シグナル伝達経路を明らかにするため、以前の検討に用いたルミカン過剰発現PANC-1細胞とルミカン発現抑制PANC-1細胞より抽出したタンパク質を用いたショットガンプロテオミクスを行い、ルミカンにより発現が調節されているタンパク質の網羅的解析を行った。その結果、ルミカンの過剰発現細胞より448種類、ルミカンの発現抑制細胞より451種類のタンパク質をそれぞれ同定することができた。スペクトラルカウント法を用いた比較定量解析を行ったところ、対照細胞と比較して過剰発現細胞では174種類、発現抑制細胞では143種類のタンパク質の発現量がそれぞれ2倍以上変動していた。過剰発現系と発現抑制系の2種類の比較解析の結果を検討したところ、24種類のタンパク質がルミカンの発現と相関関係を示すことが明らかとなった。これらのタンパク質には、アポトーシス関連タンパク質やMMP-9の活性制御に関わるタンパク質が含まれていた。 これまでに、ルミカンはアポトーシスに関与することやMMP-9の活性を介して膵臓癌細胞の浸潤に関与することが報告されているため、今回の検討で明らかになったタンパク質の発現を介してルミカンは膵癌細胞の増殖や浸潤に関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ルミカンによる膵癌細胞の増殖・浸潤に関わるシグナル伝達経路をプロテオーム解析によって検討する計画であった。計画通り、ルミカンの過剰発現細胞と発現抑制細胞の2種類の系統を用いて、ショットガンプロテオミクスによる網羅解析を行い、ルミカンにより発現が制御されているタンパク質の同定を行うことができた。同定されたタンパク質が変動していることを別の実験方法で検討して確証を得る必要があるが、当初の計画した内容を概ねこなすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討で、アポトーシスを介して膵臓癌細胞の増殖にルミカンが関与していることが示唆されたため、実際にアポトーシスが制御されているのかをアポトーシス関連タンパク質の発現を確認することで行う。 また、膵癌細胞からは特異的な糖鎖が付加したルミカンが分泌されていることが報告されており、膵癌細胞特異的なルミカンを特異的にに解析できれば、膵癌特異的な糖鎖修飾ルミカンを標的とした治療方法の開発が期待できる。そのため、糖鎖修飾されたリコンビナントルミカンをモデルにして、特異的な糖鎖修飾についての解析方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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