2013 Fiscal Year Research-status Report
ペプチド製剤を用いたルミカンの特異糖鎖修飾制御による膵癌細胞増殖抑制法の開発
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24591019
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 哲志 近畿大学, 薬学部, 助教 (20453920)
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Keywords | ルミカン / 膵臓癌 / アポトーシス / プロテオグリカン / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
小型ロイシンリッチプロテオグリカンであるルミカンによる膵臓癌細胞の増殖への関与にアポトーシスが関与しているかもしれないことをプロテオーム解析により明らかにしている。 今回、プロテオーム解析で同定されたアポトーシス関連タンパク質の発現とその経路に関するタンパク質の発現について明らかにするため、以前の検討に用いたルミカン過剰発現PANC-1細胞とルミカン発現抑制PANC-1細胞より抽出したタンパク質を用いたウェスタンブロットを行った。その結果、アポトーシス関連タンパク質であるAnnexin A5がプロテオーム解析の結果と同様にルミカンの発現と負の相関関係を示した。また、アポトーシスの主要経路の一つである、Bcl-2ファミリーの発現を確認したところ、ルミカンの発現と相関のあるものは明らかにならなかった。これらのことから、ルミカンの発現により膵臓癌細胞の増殖が亢進することは、アポトーシスが抑制された結果起こっていることが示唆されたが、その経路についてはミトコンドリアを介さない経路で行われていると考えられた。 また、ルミカンの糖鎖修飾がその機能に及ぼす影響を調べるため、NS0細胞で作られた組換えルミカンをモデルタンパク質として検討を加えた。その結果、組換えルミカンにはN結合型の糖鎖のみが修飾されていることが明らかになったため、ルミカンの糖鎖修飾とその機能について検討するためのモデルタンパク質として有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、前年度にプロテオーム解析で明らかになったアポトーシス関連タンパク質の発現及び組換えタンパク質をモデルにした糖鎖解析について検討を行う予定であった。計画通り、プロテオーム解析の結果をウェスタンブロットで裏付けることができたが、アポトーシスを抑制する経路の同定までには至らなかった。 また、組換えルミカンを用いた糖鎖解析によりN結合型の糖鎖が修飾されていることを明らかにし、モデルタンパク質として有用であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、ルミカンの発現とアポトーシスに関連があることが示唆されたため、培養細胞を用いてアポトーシスの確認をするとともに、その経路や細胞周期について詳細に検討を加えていくが、今年度より所属が変更になり、これまで行っていた組換えDNAを用いた過剰発現の実験系が施設の関係で実施できなくなったため、発現抑制系を用いて検討を行っていく。 また、モデルタンパク質の糖鎖解析を行うとともに、酵素消化した糖鎖修飾ペプチドを用いて膵臓癌細胞へ及ぼす影響への検討も行っていく。
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