2014 Fiscal Year Annual Research Report
腹部大動脈破綻におけるMafBの役割解明及びPET/CTを用いた画像化の試み
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24591033
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡邉 哲 山形大学, 医学部, 講師 (40359568)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / マクロファージ / 転写因子MafB / ニコチン |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部大動脈瘤は近年増加し全死亡原因の1-2%を占める。瘤破裂が生じると死亡率は60%に上る。大動脈瘤は単なる動脈硬化の晩期退行病変ではない。危険因子は喫煙や高血圧など動脈硬化と共通するが、コレステロール値と大動脈瘤による死亡率は相関せず相違点がある。MafBは大Maf群に属する転写因子で単球の分化やマクロファージ活性化に関係する。腹部大動脈瘤の形成には、大動脈外膜に浸潤するマクロファージが重要な役割を果たすことが報告されている。そこで、マクロファージ特異的MafB優性阻害(DN-MafB)マウスを用い、腹部大動脈瘤破裂に与える影響を検討した。 8週齢のアポE欠損マウスとDN-MafB/アポE欠損マウスにアンジオテンシンII 1000 ng/kg/minを4週間皮下投与し、大動脈瘤モデルを作成した。大動脈の外径が50%増加したときに大動脈瘤と評価した。定期的にエコーで確認し、4週後に大動脈を取出し評価した。当初、大動脈瘤の形成率が低く、評価が困難であったために、10-12週齢のマウスを用いることとした。35-40%程度に腹部大動脈瘤形成が見られた。アポE欠損マウスに比べ、DN-MafB/アポE欠損マウスでやや大動脈瘤径が大きかったが、有意差が見られなかった。我々の教室では、エラスターゼ投与マウス閉塞性肺疾患(COPD)モデルにおいて、DN-MafBがCOPD発生を抑制することを報告した(Int J Biol Sci 2014: 10: 882-894)。この中でDN-MafBはmatrix metalloproteinase 9を抑制することが報告され、腹部大動脈瘤もDN-MafBは抑制的に働く可能性がある。現在、例数を増やしながら、腹部大動脈瘤の組織学的な検討を行っている。また当初の実験計画の通り、ニコチンによる大動脈形成モデルの作成を試みている。
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