2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 幸夫 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90447251)
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Keywords | 不整脈 |
Research Abstract |
巨大な震災後には、短期的および長期的観察期間内に血圧上昇、急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な心血管イベントの増加が世界各地から報告されている。 災害に際して心血管イベントが増加する背景として、災害による恐怖や不眠などからの急性ストレス、災害における身体運動の制限や食事の偏りなどを背景とした慢性ストレスによって惹起される自律神経失調および免疫システムの障害、心血管ホメオスターシスの破綻によって引き起こされる炎症の進展による心血管障害、等が考えられるが、震災を契機として心室頻拍や心室細動といった致死性不整脈が生じたケースも過去に報告されている。1994年に発生したノースリッジ地震では震災発生後2週間以内に植込み型除細動器(ICD)症例の心室性不整脈イベントが増加した事が報告されており、2008年の四川大地震でも震災発生後の心室性不整脈の有意なイベント増加が報告された。 今回、我々は東日本大震災と不整脈発現との関係について焦点を当てて研究することとした。対象は植込み型除細動器が植え込まれている症例とし、震災前と、震災一ヶ月後から3年後の経過をfollow upし、デバイスに記録された不整脈イベントを解析することで不整脈発現の評価を行うこととした。多施設で検討を行うこととしたが、現在までに87症例について調査を行ったところ、それぞれのイベント数は、震災1ヶ月前(持続性心室細動・心室頻拍3例、非持続性心室頻拍14例)、震災1ヶ月後(持続性心室細動・心室頻拍2例、非持続性心室頻拍9例)、震災2年後(持続性心室細動・心室頻拍10例、非持続性心室頻拍23例)であり、現在のところ震災との有意な相関関係を認めていない。今後更なる検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
茨城県、福島県、岩手県、山形県の東日本大震災被災各地区からの該当症例をピックアップし、データ収集を行う予定であったが、思ったほどの症例数が現在のところ集められていない。また、海外で報告されているほどの震災と不整脈イベントの相関関係が現在のところ認められていないこともあり、他の関連因子を含めて現在データ集積そして解析を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年、東日本大震災前後短期間内での心室性不整脈イベントが震災後に有意に増加していたとする報告があった。我々の研究ではまだ一定の結論を得ていないが、より広範囲の地域で多くの症例数を、そして長期間の経過での不整脈イベント変化を観察すること、また上室性不整脈イベントやデバイスで記録された他の関連因子情報を含めて詳細に比較検討することをテーマにこの一年頑張っていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
American Heart Associationの学会に出席することが出来なかったこと、また他県の施設へデータ収集目的に訪れる回数が少なかったことが主な要因と考えられる。 積極的に海外の学会へ参加し、研究結果を発表・報告することを一番の目的とする。研究テーマを論文としてまとめることを考えており、その際の必要経費としての使用を考えている。
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