2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24591034
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 幸夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90447251)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 心室不整脈 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大な震災後に重大な心血管イベントの増加が世界各地から報告されている。致死性不整脈が震災を契機として生じたケースも過去に報告されており、1994年のノースリッジ地震では震災発生後2週間以内に植込み型除細動器(ICD)症例の心室不整脈イベント増加が、2008年の四川大地震でも心室不整脈のイベント増加が報告された。 しかし、我が国における震災と不整脈の関係についての報告は非常に少なく、さらに上室性不整脈と震災に関する報告は海外でも見当たらない。今回我々は東日本大震災と上室性および心室不整脈発生との関係について研究した。対象は震災以前にICDが植え込まれている症例とし、震災前3ヶ月以前から3年後までの経過をデバイスに記録された不整脈イベントを解析することで評価を行った。被災地である福島県ならびに茨城県の複数施設でfollow upが可能であった143症例について調査を行ったところ、震災前後3ヶ月間の心室不整脈によるICD適切作動率はそれぞれ9.3%と5.4% (p=0.23)、非持続性心室頻拍イベント発生率は33%と27% (p=0.24)、心房細動発生率は32%と34% (p=0.76)であり、いずれの不整脈発生率にも有意差を認めなかった。震災発生1ヶ月前後でのICD適切作動率 (6.2% vs. 3.0%, p=0.22)、非持続性心室頻拍イベント発生率(23% vs.17%, p=0.23)、心房細動発生率(23% vs. 27%, p=0.47)にも有意差を認めず、震災以降3年間における半年ごとの各イベント発生率においても際だった変化は見られなかった(ICD適切作動率 (p=0.61)、非持続性心室頻拍イベント発生率(p=0.83)、心房細動発生率(p=1.56))。 以上の結果から、本研究では東日本大震災を契機に上室性および心室不整脈の有意なイベント発生率増加は確認されなかった。この結果は、過去の海外での報告結果と異なるが、この要因として、症例数が少ないこと、対象症例がICD植込み症例に限定されたこと、民族気質の違い、といったことが考えられた。
|