2014 Fiscal Year Research-status Report
心房細動患者における薬剤性QT延長の新たな評価法の確立と遺伝的背景の解析
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24591040
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水牧 功一 富山大学, 臨床研究・倫理センター, 特命准教授 (90313618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤性QT延長症候群 / 心房細動 / ホルター心電図 / 遺伝子 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
発作性心房細動(PAF)例にHolter心電図を施行、心房細動(AF)時と洞調律時のQT間隔を自動計測しAF時のRR間隔を1心拍毎、10心拍の平均 RR間隔、modified RR 間隔を用いた 3法で比較したところ、10心拍平均のQT/RR関係が洞調律復帰後のQT/RR関係を最もよく反映していた。一方、AF中1心拍毎のQT/RR関係はAFの持続による変動を認め、QT/RR関係のslopeはAF発作0-1時間より4-5時間で減少、洞調律に復帰後0-1時間より4-5時間で増大した。この傾向はQT延長をきたす抗不整脈薬投与例で顕著となった。PAF例ではAF持続によりQTが短縮し洞調律復帰後は徐々にQT延長し、薬剤性QT延長によるtorsade des pointes (TdP)に関与することが示され、この結果は学会発表を行い論文に投稿中である。 Holter心電図でLQT2と同様のQT/RR slopeの増大を認めた薬剤性QT延長症候群のAF症例で、KCNE1遺伝子の単一塩基多型(SNP) G38Sが認められた。Single cellを用いた電気生理学的基礎実験でG38 SNPはKCNH2電流を抑制し、Ikr blockerや低K血症によりその程度が増大した。すなわち、G38 SNPはQT延長を起こしやすい条件においてLQT2と同様のQT延長をきたしTdPのリスクがあることが示唆され本研究の結果は論文で発表した.またQT延長を認め別のKCNE1遺伝子SNP(D85N)を有する例のHolter心電図解析でも、遺伝性QT延長症候群と同様のQT/RR関係の異常が認められ、学会報告し論文に投稿中である。さらに持続性心房細動の患者を対象に皿群抗不整脈薬の投薬前後で24時間ホルタ一心電図を記録、心房細動中の QT/RR 関係への皿群抗不整脈薬の効果の検討を行い、学会発表と論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心房細動の患者の 24時間ホルタ一心電図を用いた QT/RR 関係の解析法の確立については、心房細動時には10心拍平均したQT/RR関係が洞調律復帰後のQT/RR関係を最もよく反映することが明らかとなり論文として投稿予定である。 一方、発作性心房細動例では心房細動の持続により1心拍毎のQT/RR関係が変動する現象が認められたが、10心拍平均のQT/RR関係では変動は明らかではなかった。心房細動の持続とともに徐脈時のQT延長の程度が小さくなり、洞調律復帰後はその程度が徐々に大きくなることが示された。またこのQT/RR関係の変化は、QT延長を来すⅠ群、Ⅲ群抗不整脈薬を内服した症例でより顕著となり薬剤性QT延長によるtorsade des pointes (TdP)に関与することが示され、これらの結果をまとめて論文投稿中である。 薬剤性 QT 延長症候群と遺伝子異常の解析については、TdPを発症した薬剤性QT延長症候群でQT/RR slopeが健常者より有意に増大した症例でKCNE1遺伝子の単一塩基多型(SNP)であるG38Sのみが認められ、心房細動患者におけるQT/RR関係の解析が背景にある遺伝子異常の推定に有用であることが示され論文に発表した。だた、24 時間ホルター心電図で持続性心房細動例のQT/RR 関係への皿群抗不整脈薬の影響についての検討では、QT/RR 関係の異常を示した症例の遺伝子解析を行う予定であったが、QT/RR 関係の異常を認め遺伝子解析を行った症例、および遺伝子異常を認めた症例が少なかった。このため1年間の期間延長申請を行い、皿群抗不整脈薬を投与中の持続性心房細動例で、今後カテーテルアブレーションを予定している症例を追加して解析を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き心房細動中の12誘導心電図からQT延長例を抽出し、ホルター心電図におけるQT/RR関係を検討し徐脈時のQT延長の程度が大きい症例の集積を図る。これらの検討を、抗アレルギー薬や抗菌剤などの非抗不整脈薬を投与されている症例にも行い、薬剤性QT延長例の背景となる遺伝子異常について解析を進める。皿群抗不整脈薬の投薬された持続性心房細動症例(入院例、外来例)の集積さらにすすめてQT/RR関係を検討し、心房細動中のQT/RR関係へ上記薬剤が及ぼす影響の検討し成果をまとめる。一方、遺伝子解析を行った症例および遺伝子異常を認めた症例が少なかったため、皿群抗不整脈薬を投与中の持続性心房細動例で、今後カテーテルアブレーションを予定している症例を追加して解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、24 時間ホルター心電図で持続性心房細動例のQT/RR 関係への皿群抗不整脈薬やQT延長の危険性のある薬剤の影響を解析し異常を示した症例の遺伝子解析を行い学会発表、論文投稿予定であった。しかしながら、QT/RR 関係の異常を認め遺伝子解析を行った症例、および遺伝子異常を認めた症例が予定より少なかったため、遺伝子解析に必要な消耗品費が予算額より下回ったことによって、次年度へ繰り越す助成金(次年度使用額)が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は平成26年度の研究を継続し、持続性心房細動の患者を対象に洞調律化の目的で投与された皿群抗不整脈薬の投薬前後で24時間ホルタ一心電図を記録、発作性心房細動での検討から確立された QT/RR関係の解析法を用いて、心房細動中の QT/RR 関係への皿群抗不整脈薬の効果を検討する。本年度は皿群抗不整脈薬を投与中の持続性心房細動例で今後カテーテルアブレーションを予定している症例を加えて、24 時間ホルター心電図のQT/RR 関係の解析を行い異常を示した症例の遺伝子解析を施行する。また引き続き薬剤性 QT延長症候群の危険性のある薬剤が投与されている患者で24 時間ホルター心電図を施行しQT/RR 関係を解析し、健常対照群の平均より標準偏差の2倍以上のQT/RR 関係の偏位を認める例で同意が得られた場合には遺伝子解析を行い研究成果をまとめ検討を行い、学会発表および学会誌への研究成果の投稿を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] IKs channel trafficking and function but not Yotiao interaction.2014
Author(s)
Kinoshita K, Komatsu T, Nishide K, Hata Y, Hisajima N, Takahashi H, Kimoto K, Aonuma K, Tsushima E, Tabata T, Yoshida T, Mori H, Nishida K, Yamaguchi Y, Ichida F, Fukurotani K, Inoue H, Nishida N.
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Journal Title
J Mol Cell Cardiol
Volume: 72
Pages: 273-280
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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