2012 Fiscal Year Research-status Report
ニコランジルを用いた慢性腎臓病合併冠動脈疾患患者に対する総合的治療法の開発
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24591044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西垣 和彦 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (60198447)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造影剤腎症 / K-ATPチャネルオープナー / 冠動脈形成術 / 腎虚血傷害 / 主要心腎血管イベント / 無作為比較試験 / 腎保護作用 |
Research Abstract |
本年度は、冠動脈形成術(PCI)に対するNicorandilの腎保護作用の解明のため、PCI施行患者に対する無作為比較試験を施行した。 PCIを施行する患者でcystatin C高値の腎機能低下症例192名(平均年齢:70.3±7.9歳)をランダムに、生食群(C群)94名とNicorandil群(N群、PCI4時間前からPCI後24時間の持続点滴静注:0.096 mg/ml,1ml/kg/hr)98名の2群に分け、前向きに造影剤腎症(CIN)と主要心腎血管イベント(MACRE)の発症頻度を比較した。 その結果、両群の患者背景や造影剤の使用量などに有意差はなかった。血漿Crの変化率は有意にC群に比較してN群で小さく(2日後:3.93 vs. 0.57%、1ヵ月後:6.58 vs. -0.49%, p<0.01)、eGFRの低下率も有意に低値であった(2日後:4.2 vs. 0.63%、1ヵ月後:6.34 vs. -0.63%, p<0.01)。PCI後1ヵ月間のMACREの頻度は、有意にC群に比較してN群で低値であった(20.2 vs. 7.1%, p<0.01)。特にCINの発症頻度もC群に比較してN群で有意に低下した(9.6 vs. 2.0%, p<0.05)。 Nicorandilの持続点滴静注により腎機能低下症例におけるCIN発症頻度を減少させた要因として、現在CINの根本的な病態機序はまだ完全には理解されていないが、CINの腎虚血傷害に対しNicorandilは活性酸素の蓄積を阻害して、ET-1の合成を抑制、NO生産を誘発することで腎保護作用を示す可能性があると考えられた。 Nicorandilは、PCI前4時間、PCI後24時間の持続点滴静注により腎機能低下症例におけるCIN発症頻度を減少させることができることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冠動脈形成術(PCI)に対するNicorandilの腎保護作用の解明において、 PCIに対するNicorandilの腎虚血耐性・腎保護作用の解明は、十分に目的を達成し、現在論文化を行っている。一方、CKD-CVDウサギモデルによるNicorandilの腎保護作用の解明に関して、現在通常のウサギを用いた造影剤腎症モデルの開発を行っている。 通常のウサギにおいて、造影剤イオメロン350を、5日間連日30mL/日投与すると、Crの上昇を認めることが分かったが、尿中のシスタチンCなどの指標には影響があまり見られず、高用量の造影剤を必要とするのか現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降には、CKD-CVDウサギモデルによる、Nicorandilの虚血耐性・腎保護作用の解明を行う。 1)CKD-CVDウサギを以下の2群に分ける。N群(n=10)はNicorandilを0.3mg/Kgを毎日静注した群で、C群(n=10)は対照群として生食を投与する。 2)両群とも、2週間毎に20週間5mL/Kgの造影剤(イオパミロン370)を静注する。 3)両群とも、前項の2)、3)と同様な検索を行い比較検討して、CKD-CVDに対するNicorandilの虚血耐性・腎保護作用の有用性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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