2012 Fiscal Year Research-status Report
加算微分fQRSを用いた新しい心臓突然死リスク予測法
Project/Area Number |
24591051
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森田 宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50322227)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杜 徳尚 岡山大学, 大学病院, 助教 (70600641)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 心臓突然死 / fragmented QRS / 伝導障害 / 不整脈基質 / 12誘導心電図 |
Research Abstract |
加算微分fQRS解析はデジタル記録した心電波形を加算し、QRS区間内の微細な異常(多棘性QRS、fragmented QRS, fQRS)を検出する目的で行っている。従来の加算平均心電図ではQRS終末部以降の異常しか捉えることが出来なかったが、この方法ではQRS区間内の異常を捉えることが出来る可能性がある。心室興奮の大部分はQRS時間内に収まるものの、心筋障害が存在すると、興奮伝播の過程で興奮前面の方向が障害部位により変化し、QRS内に微小なノッチや棘波を形成する(fQRS)。この解析ではこういった心筋の伝導性の変化をQRS波形を加算、かつ微分することで視覚的に捉えやすくすることを目的としている。QRS波形の異常を来す心筋障害は致死的心室性不整脈や心不全を来す可能性を有しており、新しい突然死予知、心事故予測指標として期待される。 平成24年度の進捗状況として、心電図データを解析コンピューター上に取り込み、ソフトウェア上で最も効率よい加算拍数、QRS異常の感知を検討している。加算微分QRS解析ソフト開発そのものはは、概ねできあがっており、現在、臨床で記録した心電図データを解析し、不具合の修正を行っている。心電図をデジタル記録し、10-20拍程度を加算し、QRS波形の電気的ノイズを削除し、伝導障害による微細な電気的信号を一次微分し、視覚的にも捉えやすくすることが出来た。解析の元となる心電図データは、通常の十二誘導心電計で記録するため、現時点では加算分も含め100拍程度の記録を行っており、症例データの蓄積を行っている。初年度は解析ソフトの作成と症例登録を同時に行った。研究分担者(杜 徳尚)は解析症例の選定、データベース作成に関わっている。 また、fQRS解析の一部データを学会、総説等で発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心電図の加算・微分による多棘性QRS(fQRS)を解析するソフトの作成は順調に進んでいる。心電図データを解析コンピューター上に取り込み、パーソナルコンピューター上で最も効率よい加算拍数、QRS異常の感知、フィルター等を検討している。また現在平行して様々な症例の通常の12誘導心電図データ、加算平均心電図を電子データを保存し、症例を蓄積している。これらのデータベースを元に既存の検査(通常の心電図記録、加算平均心電図)と新しい方法である加算微分fQRS結果との比較、予後予測因子として優れているかどうか検討を行っている。現時点での症例データは心筋症や心筋梗塞に伴う不整脈のリスクのある患者や遺伝性不整脈を中心にデータ蓄積を行っているが、今後は現時点で不整脈のリスクが少ないと思われる症例にも広げ、長期的な予後予測因子となるかどうかを検討する。 分担研究者の杜とは同一教室内で毎日、臨床・研究・学生教育を行っており、スムーズに研究を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例データの登録と平行して、主に不整脈リスクの高い心疾患での解析を始める。特に、心筋梗塞、拡張型心筋症、肥大型心筋症、Brugada症候群などの突然死をきたす疾患で、古典的なリスク評価法と当研究で行う新しい加算微分fQRSの各データで、致死的不整脈の発生を検討する。また加算微分QRSにより捉えられたfQRS波形は、心室の障害による伝導遅延を示す指標と考えられ、致死的不整脈発生のみならず、心機能低下や心不全の発生も予測する可能性があり、今後、心機能との関連性も検討する。現時点では登録症例数がそれほど多くなく、前向き研究ですぐに検討するには十分な経過観察期間がとれないため、後ろ向き研究として、致死的不整脈や心不全発生等の心事故について各指標のリスク比を検討する。これらの後ろ向き研究の結果については症例数が十分となり次第随時、学会報告、論文作成を行う予定である。。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二年目以降はソフトウェア開発、データ保存媒体、解析用コンピューター関連の備品・消耗品に関する費用が中心となる。ソフトウェア作成においては、一般に使われている心電図データを解析するため、データ形式や解析について、心電計メーカーの担当者へのデータ形式についてのコンサルターションが必要であり、旅費で研究打ち合わせ費用や学会参加費用を計上している。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Fragmented QRS complex on 12-lead ECG is a predictor of ventricular tachyarrhythmia in patients with systemic sarcoidosis
Author(s)
Yutaka Take, Hiroshi Morita, Kimikazu Banba, Norihisa Toh, Eiki Hirose, Atsushi Hirohata, Kazufumi Nakamura, Kunihisa Kohno, Kengo Kusano, Keizo Yamamoto, Tohru Ohe, Hiroshi Ito
Organizer
第77回日本循環器学会学術集会
Place of Presentation
横浜