2013 Fiscal Year Research-status Report
肥満における動脈周囲脂肪組織の挙動と粥状硬化巣の病勢との関連に関する研究
Project/Area Number |
24591057
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大森 浩二 香川大学, 医学部, 准教授 (00263913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アリフ・ウル ハサン 香川大学, 医学部, 研究員 (00570368)
河野 雅和 香川大学, 医学部, 教授 (20153489)
野間 貴久 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20363202)
山下 洋一 香川大学, 医学部, 准教授 (80363208)
井町 仁美 香川大学, 医学部, 准教授 (80380187)
石原 靖大 香川大学, 医学部附属病院, その他 (80532689)
堀井 泰浩 香川大学, 医学部, 教授 (90423425)
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Keywords | 脂肪細胞 / メタボリックシンドローム / アンジオテンシン受容体 / 炎症 / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肥満における血管周囲脂肪組織のリモデリング(肥大・増殖)に際する血管新生が粥状硬化巣の病勢に及ぼす影響を明らかにすることである。平成25年度(2年目)には、前年度の培養脂肪細胞を用いた基礎研究をさらに進めた。すなわち、冠動脈形成術後の再狭窄を抑えること、及びインスリン抵抗性を改善することが臨床研究で報告されているI型アンジオテンシンII受容体(AT1R)遮断薬(ARB)の作用機序として、脂肪組織への直接効果の有無を検証した。AT1R選択性が高く、脂肪細胞のマスター制御因子であるPPAR-γの直接刺激作用を有さないARBとしてバルサルタンを選択し、3T3-L1細胞から分化成熟させた脂肪細胞に投与したところ、外因性のAII非依存性にAT1Rのシグナルを抑制、IκB-αを保持してNF-κBの核内への移動を抑制することにより、PPAR-γの転写活性を抑制した。これにより、脂肪細胞は定常状態でAT1R刺激状態にあることが確認され、さらに、その効果として、IL-6の発現・分泌の促進、アディポネクチンの発現・分泌の抑制が自発的に起っていること、AT1R遮断により、脂肪細胞自体の抗炎症作用、インスリン感受性増加作用が得られることが明らかになった。これらのことはHypertension Research誌に発表した。また、これと並行して、VEGFも引き続きエンドポイントとした検討を行っているが、これには何らかの刺激下での検討が必要と考え、低酸素環境下での細胞培養を行い、データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、初年度に細胞実験を終え、2年目に動物実験の成果を上げるとともに最終年度の臨床研究の準備に着手する予定であった。しかし、細胞実験の進行に伴い、検討すべき因子が多岐に亘り(各種治療薬の効果や脂肪組織のリモデリングにも関与する低酸素状態、あるいは低酸素環境下での各種薬剤の効果等)、多くのテーマが派生している状況である。また、研究代表者のエフォート配分の変化(研究分担を行う他課題の採択や兼務の増加)により、当該研究分が減少したのも一因である。しかしながら、研究分担者が着々と研究を進行しており、細胞実験を拡大させると共に、施設内の動物実験計画書については、肥満モデル、低酸素飼育モデルを含むものを作成し、当該委員会の最終承認を待っている状況である(平成26年4月23日現在)。また、臨床研究については倫理審査の段階にはないが、引き続き学会等での情報収集を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞を用いた基礎実験を完結し、テーマ毎に論文化すべきと考えている。このために、大学院生1名を研究協力者に追加した。また、得られた知見については、肥満学会などで積極的に発表していきたい。動物実験については、他のグループによる類似の研究について研究し、課題の新規性の再評価を行い、エンドポイントを追加するなど、随時、学術的価値を確保しつつ、研究を進める予定である。臨床研究については、関連知見が増加していることから、研究経費の有意義な執行のためには、評価項目とその方法を見直すなど、プロトコールの修正を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用時に随時購入を要する細胞実験に用いる試薬が未購入であり、動物実験にかかる費用、および研究成果発表のための旅費が未執行のため次年度使用額が生じた。 平成26年度は動物実験に着手するので、そのためのモデル動物、餌、試薬などの購入に主に充てられる。また関連情報の収集、研究成果の発表などは継続的に行い、そのための、旅費にも用いる予定である。また平成26年度は最終年度であり、結果の出版にかかる費用にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)