2013 Fiscal Year Research-status Report
急性冠症候群におけるCYP2C19機能喪失遺伝子の迅速検出と至適薬物治療法の確立
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24591062
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
海北 幸一 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30346978)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 経皮的冠動脈インターベンション / CYP2C19遺伝子多型 / クロピドグレル |
Research Abstract |
本研究は、緊急冠動脈インターベンション(PCI)を施行する急性心筋梗塞患者において、抗血小板剤であるクロピドグレルの低反応性に関与するCYP2C19遺伝子多型を簡便に検出できる簡易測定器(Spartan RX CYP2C19 DNA testing system)を用い、約1時間以内にCYP2C19機能喪失遺伝子の有無を同定する。この検索をすることにより、抗血小板剤の選択とその投与量を検討することが可能であり,その後の心血管イベントリスクを回避した、有効な抗血小板療法を確立することができるものと仮定し研究を行った。本研究は、既に倫理委員会の承認が得られている。今回の検討では、アスピリンとクロピドグレルの抗血小板剤併用療法施行中のCYP2C19機能喪失遺伝子保有者を、無作為にシロスタゾール追加投与群、非追加投与群の2群に割り振り経過観察している。購入したSpartan RXの測定精度については、ヒトの口腔粘膜から採取した組織により、CYP2C19*2, *3, *17遺伝子多型は正確に測定できることが判明した。心血管イベントの観察とともに、血小板凝集能、血小板粘着能、血漿VWF抗原濃度、血漿ADAMTS13抗原濃度、C40 ligand、soluble P- Selectin、IL-6、VASP 等の血小板関連マーカー、CK-MB、高感度 Troponin T等の心筋傷害マーカーおよび高感度CRP等の経時変動を測定する予定であるが、現在、ELISA等の測定手技の確認作業を行っており、各マーカー共に安定して測定できることが判明した。現在、ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞患者を組み入れ、40例以上をエントリーできている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
製造発売メーカーによるCYP2C19遺伝子多型の簡易測定器(Spartan RX CYP2C19 DNA testing system)の納入時期が数ヶ月以上遅れたことにより、平成24年度初めからの研究開始が遅れたことが、本研究の進行がやや遅れている理由である。現在、本邦では、SpartanRXの保有は当施設のみであるが、問題なく迅速に遺伝子多型が測定できることが判明した。また、血小板凝集能、血小板粘着能、血漿VWF抗原濃度、血漿ADAMTS13抗原濃度、C40 ligand、soluble P- Selectin、IL-6、VASP 等の血小板関連マーカー、CK-MB、高感度 Troponin T等の心筋傷害マーカーおよび高感度CRP等の測定も安定して施行できることが判明した。症例登録は、最近になり、順調に進み出しており、現在40例の登録ができている。今後症例を追加して、急性心筋梗塞急性期における、薬剤介入した際の心血管イベントリスクを回避できる有効な抗血小板療法について検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.急性心筋梗塞例の登録:積極的なスクリーニングを実施し、適合症例の獲得に努力する。本研究は、当施設のみでの症例獲得が困難であったため、他施設に症例登録を依頼し、現在40例の登録が得られている。 2.症例がエントリーできた際に、経時的に確実に血液を採取し、処理し、ストックする。欠損データがないように配慮し、後の血小板マーカー等の血中濃度測定や、統計解析が着実に遂行できるよう配慮する。現在のところ、採血に関しては、全例、全ポイントで施行できている。 3.血小板凝集能、血小板関連マーカーや、心筋傷害マーカーの血中濃度の測定手技の確立が重要であるが、極力、専門部署での測定を依頼し、測定値の安定化を図る。 4.CYP2C19遺伝子多型と、各種血小板関連マーカー、心筋傷害マーカーと患者背景との関連性について統計学的手法を用いて解析する。患者背景については、入院時の身体所見、採血データ、服薬状況より冠危険因子を抽出することによって検討後、各種血小板関連マーカーや心筋傷害マーカーとの関連性を解析する。 5.2次評価項目として、急性心筋梗塞患者におけるCYP2C19遺伝子多型と血栓性合併症を含めた予後との関連を検討するが、退院後も当科および関連施設を定期的に受診して頂き、外来受診時に心血管イベントについて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Spartan RX CYP2C19 DNA testing system)の納入時期が数ヶ月以上遅れたことにより、研究開始が遅れたことが、次年度使用額が生じた理由である。このことにより、症例登録数が少なく、血小板凝集能、血小板粘着能、血漿VWF抗原濃度、血漿ADAMTS13抗原濃度、C40 ligand、soluble P- Selectin、IL-6、VASP 等の血小板関連マーカー、CK-MB、高感度 Troponin T等の心筋傷害マーカーおよび高感度CRP等の測定も滞っている。今後症例を追加して、測定も急ぐ予定である。 1.症例登録の継続:平成25年度に引き続き、急性心筋梗塞例をエントリーし、目標数を達成するよう積極的なスクリーニングを実施する。また、エントリーできた症例の血液サンプルを用い、前年度に引き続き、血小板凝集能、血小板粘着能、血小板関連マーカーや、心筋傷害マーカーの血中濃度を測定する。 2.各種血小板関連マーカー、心筋傷害マーカーと患者背景との関連:経時採血により得られた血液サンプルから、各種血小板関連マーカーや心筋傷害マーカーの推移とCYP2C19遺伝子多型を含めた患者背景との関連性について解析する。 3.急性冠症候群患者におけるCYP2C19遺伝子多型と血栓性合併症を含めた予後との関連:可能な限り長期に血栓性合併症を含めた心血管イベントに対する予後調査を実施する。この予後調査により、CYP2C19機能喪失遺伝子と、血栓性合併症、心血管イベントのリスクとの相関性について解析することができる。
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