2015 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈プラーク内マクロファージ数がプラーク破裂に及ぼす影響についての検討
Project/Area Number |
24591068
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50458072)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 毅 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (40549771)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 光干渉断層法 / ST上昇型急性心筋梗塞 / 非ST上昇型急性心筋梗塞 / マトリックスメタロプロテイナーゼ9 / ミエロペルオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
病理学的検討から急性心筋梗塞の病変形態は、プラーク破裂型と非プラーク破裂型の二群に大別される。プラークを覆う線維性被膜が菲薄化することがプラークの破裂に関連し、血管内皮の脱落と血栓傾向が非プラーク破裂の急性心筋梗塞に関連していると考えられている。我々はマクロファージとマクロファージより放出されるmatrix metalloproteinase9(MMP-9)が、線維性被膜を菲薄化しプラーク破裂に関連する一方で、活性化された好中球由来のmyeloperoxidase(MPO)が、血管内皮の障害及び、血小板の活性化を惹起し、非プラーク破裂型の急性心筋梗塞を発症すると仮説した。117例の急性心筋梗塞患者に対して、光干渉断層法(OCT)を用い、プラーク破裂の有無を観察した。またステント留置前後に血栓吸引を行い、冠動脈血を採取し、血清のMMP-9やMPOといった炎症性マーカとの関連を検討した。 当初の仮説と異なり、プラーク破裂の有無と炎症性マーカーの値には有意な関連は見出せなかった。しかし、ST上昇型急性心筋梗塞と非ST上昇型急性心筋梗塞で比較すると、ST上昇型急性心筋梗塞で末梢血、冠動脈血とも有意に血清MMP-9が上昇していた。一方でMPOについては差は認めなかった。OCTでのプラーク破裂の有無はST上昇型心筋梗塞には関係がなかったが、OCTでみた大きな脂質角度や赤色血栓がST上昇型心筋梗塞に関連していた。多変量解析では冠動脈中の血清MMP-9濃度がST上昇型心筋梗塞の独立した決定要因であった。 本研究では、急性心筋梗塞の臨床症状の決定に、冠動脈血中の血清MMP-9が重要であることが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)