2014 Fiscal Year Research-status Report
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24591070
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井上 健司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80317388)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症 / 体外循環 / ヒストン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究進展の問題点として、PTX3とヒストン (H3.1/H4構造)との反応阻害があげられました。そこで連携研究機関である東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学と合同でPTX3とヒストンの結合のメカニズムについて検討しました。リコンビナントPTX3とヒストン4 (H4)を結合反応させたのち、電子顕微鏡で観察するとタンパク質構造が失われているほどの強い凝集反応観察されました。このあまりに強い凝固凝集反応が、カラム作成における非特異的結合の原因になると考えられました。しかしこの強い凝固反応が、ヒト内皮細胞に対するヒストンの細胞毒性をPTX3添加で抑制されるメカニズムであることもわかりました。さらに興味深いことにアミノ基側のリコンビナントPTX3でも同様の結果が得られることから同部位が敗血症の際、内皮細胞障害をもたらすヒストンに対するPTX3の保護的役割をきたすでことがわかりました。次にアミノ基側のリコンビナントPTX3の投与が敗血症に有効かどうか敗血症マウスモデルを用いて検討しました。マウスにヒストンを投与すると血管内皮細胞障害を起こし肺出血を起こし死亡することがすでに報告されておりますが、PTX3を投与すると血管内皮細胞の障害は抑制され、肺出血もきたさず有意に生存率が改善されました。本結果は昨年、Science誌の姉妹紙、Science Signalingに報告いたしました(Sci. Signal. 16 September 2014; Vol. 7, Issue 343, p. ra88)。 【動物実験系】 ラットの体外循環において最も難しいところは全身麻酔下にラットの大腿静脈、頸静脈にルートを確保してポンプを用いて安定的に体外循環を継続させることにありました。そこで同システムをすでに構築され論文発表されている順天堂大学医学部救急科射場利明教授に協力を依頼、すでにラットの体外循環モデルの構築を完了しております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PTX3はN末端に特異的なドメインをもつ炎症反応性タンパクです。同部位のリコンビナントを磁性体、プレートなどに固相化したシステムを構築したのですが、非特異的吸着を抑制することができませんでした。その原因を探索するための実験経過に時間を要しました。今回の一連の結果から、アミノ基側のPTX3とヒストンとの強い結合反応は凝集反応によるものと判明しましましたが、同時にPTX3の敗血症モデルのメカニズムも明確になったことから同疾患に対する新規治療法としてPTX3はやはり重要なタンパクであることも判明しました。
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Strategy for Future Research Activity |
PTX3の非特異的吸着を抑制すべくN末端に特異的なドメインをいくつかのパターンでサイズを削りヒストンとの結合部位を同定しております。出来るだけ短いセグメントをもったPTX3リコンビナントを用いて同様の実験に移りたいと考えます。
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Causes of Carryover |
当研究費で行うべくカラム作成及び動物実験の前に基礎実験を再度行わなくならなくたったためです。同実験は連携研究機関である東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学を主として行われたため次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PTX3はN末端ドメインの特異性を増すべく、N末端部位をいくつかのパターンでサイズを削りヒストンとの結合部位を同定していきます。出来るだけ短いセグメントをもったPTX3リコンビナントを用いて同様の実験に移りたいと考えます。
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[Journal Article] Protective effect of the long pentraxin PTX3 against histone-mediated endothelial cell cytotoxicity in sepsis2014
Author(s)
Daigo K, Nakakido M, Ohashi R, Fukuda R, Matsubara K, Minami T, Yamaguchi N, Inoue K, Jiang S, Naito M, Tsumoto K, Hamakubo T.
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Journal Title
Sci. Signal.
Volume: 7
Pages: ra88
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] 2)Comparison of conventional and high-sensitivity troponin in patients with chest pain: a collaborative meta-analysis.2014
Author(s)
Lipinski MJ, Baker NC, Escarcega RO, Torguson R, Chen F, Aldous SJ, Christ M, Collinson PO, Goodacre SW, Mair J, Inoue K, Lotze U, Sebbane M, Cristol JP, Freund Y, Chenevier-Gobeaux C, Meune C, Eggers KM, Pracon R, Schreiber DH, Wu AH, Ordonez-Llanos J, Jaffe AS, Twerenbold R, Mueller C, Waksman R
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Journal Title
Am Heart J
Volume: 169
Pages: 6-16
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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