2015 Fiscal Year Research-status Report
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24591070
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井上 健司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80317388)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症 / 体外循環 / ヒストン / PTX3 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンによる内皮障害のPTX3の効果を順天堂大学医学部救急科射場敏明教授のご協力をいただき検討いたしました。ヒストンH3 (25μg/mL; 敗血症においてみられる程度の濃度として設定)による血管内皮細胞(ラット大動脈由来内皮細胞)障害は、1) 血清フリーでは強く見られたが、100%血清でほぼ完全に緩和された。2) 0%アルブミン培養液では、強い内皮細胞障害が見られたが、5%アルブミン(生理的濃度)により高度に緩和された。また2.5%アルブミンでも相当程度緩和され、1%アルブミンによる緩和効果は少なかった。3) 生理的濃度の活性化プロテインC (APC, 4.0μg/mL)でも緩和効果がみられたが、治療的濃度(40μg/mL)でより強い緩和効果がみられた。4) 炎症時の反応としてみられる程度のPTX3濃度(0.1μg/mL)でも緩和効果がみられたが、治療的濃度(1.0μg/mL)でより強い緩和効果がみられた。以上より、比較的少量のヒストンによる傷害は、血中に存在する生理的阻害物質であるアルブミンやプロテインC, PTX3によって相当程度阻害される。しかし、ヒストン濃度が高くなると、生理的阻害物質では不十分であり、治療的介入の必要があると考えられました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
カラムの作成が滞っております。PTX3はN末端に特異的なドメインをもつ炎症反応性タンパクです。同部位のリコンビナントをできるだけ短く特異性を保つように作成しておりますが、非特異的吸着を抑制することができません。
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Strategy for Future Research Activity |
カラム作成のノウハウをお持ちの東レ株式会社に共同研究の依頼を考えております。同社は世界初の血中エンドトキシン除去向け血液浄化用浄化器を開発、臨床で広く使用されております。カラムの内部にエンドトキシン吸着担体となるポリミキシンB固定化繊維をロール状に巻き付けた形の吸着体で、同方法を用いてPTX3を固定できないか検討したいと思います。
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Causes of Carryover |
当研究費で行うべくカラム作成および動物実験の前に基礎実験を追加しなくてはならたかったためです。同実験は連携研究期間であります順天堂大学医学部救急科を主として行われたため次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PTX3はN末端ドメインの特異性を増すべくN末端部位をいくつかのパターンでサイズを削りヒストンとの結合部位を検討したいと思います。またできるだけ短いセグメントをもったPTX3リコンビナントを用いて同様の実験に移りたいと考えます。また吸着カラム作成に関し東レ株式会社に共同研究を依頼し、カラム作成を目指します。
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