2013 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮前駆細胞の投与組織環境改善で治療効果の増強を図る次世代型血管新生療法
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24591080
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐々木 健一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (70320190)
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Keywords | 虚血下肢 / 組織ダメージ / アシルカルニチン |
Research Abstract |
採取した4名の患者組織を(末梢側)高度虚血組織、その対象組織と設定した(中枢側)軽度虚血組織の2種類に切り分け、それぞれの組織から無作為にサンプル作製用の組織を少量ずつ採取した。それらの組織を用いて、ウェスタンブロット用、ELISA用、アシルカルニチン濃度測定用それぞれのサンプルを作製した。また、ヒト組織以外にも、マウス下肢虚血モデルから採取した組織を用いて同様のサンプルを作製した。 ミトコンドリア機能を評価するためのウエスタンブロット実験では、ラットおよびヒト組織におけるATP synthaseの発現が非虚血組織に比べて上昇していた。これは虚血侵襲を受けた骨格筋細胞が、自身および周囲細胞を救済すべく細胞エネルギー産生を亢進させている状態を示しているのかもしれない。その一方で、cytochrome C発現も同様の差を認めており、虚血侵襲に耐えることができずにアポトーシスへ向かう細胞の存在も示していた。 血管新生作動タンパク質濃度評価のためのELISA実験(ヒト組織においてのみ実施)では、標的タンパク質検出に予想以上の大幅なバラつきが認められ、検出不能という結果も多く見受けられた。 アシルカルニチン濃度測定(マウスおよびヒト組織において実施)では、その検出値に予想以上の大幅なバラつきと検出不良を認めた。 サンプル作製用に採取した各組織における虚血状態や挫滅状態は、採取場所において想像以上の変化幅(変化勾配)が存在しており、特にヒトのサンプル組織はマウスから採取した場合に比べて顕著であることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定機器の不具合などで自研究室でのアシルカルニチン濃度測定が困難となったため、結果的に外部測定業者に測定依頼することとなったが、サンプル提出から最初の結果報告までに予想以上の期間を要したことが結果検討の遅延に繋がった。さらに最初の結果報告の際、次回からの測定ではサンプル作製および調整方法の変更を強いられることとなったため、同組織サンプルを用いて再度測定することとなり、その結果検討にも長期間を要することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定より採取組織検体数は少ないながらも、予定実験は開始され、結果検討も可能となってきている。現時点で結果に大きなバラつきが認められ、統計学的評価を行う実施数には程遠い。今後もin vitro実験数を増やすべく、組織採取協力を定期的にお願いする。 一方で、虚血組織中のアシルカルニチン濃度に注目した実験プランとは別の、虚血組織中の酸化ストレスに注目した予備実験プランを同時進行させ、2方向から研究推進を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度までの予定研究達成が遅延しており、主に実験実施のための物品購入における最終使用額が使用予定額に到達しなかったため。 前年度までの予定実験および今年度実施予定実験を遂行するための物品購入、関連研究会や学会参加による情報収集や研究成果発表のための旅費、外部専門業者による実験サンプル濃度測定依頼費用などに計上する。
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