2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元経食道超音波検査による急性期虚血性脳卒中患者の評価
Project/Area Number |
24591084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
古賀 政利 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (30512230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 一則 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (50275450)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 3次元経食道心臓超音波検査 / 大動脈動脈硬化進行度 / 発作性心房細動 |
Research Abstract |
実績1.平成24年12月までに急性期脳梗塞もしくは一過性脳虚血発作148例(女性44例、74±10歳)の3D TEE検査を行いデータベースに登録した。また、比較的高齢者の剖検4例の大動脈を剖検直後に管腔構造を維持するために圧をかけながらホルマリン固定し、3D TEE検査で大動脈弓部を評価した。 実績2.大動脈弓部の剖検標本から動脈硬化進行度を米国心臓協会の病理分類に準じて軽度群(初期病変)1例、中等度群(中間~粥腫病変)1例、石灰化群(明かな石灰化~線維化病変)1例、高度群(潰瘍、びらん病変もしくは血栓を伴う病変)1例に分類した。TEE所見では、軽度群は2次元で内中膜の軽度肥厚(2mm)をびまん性に認めたが石灰化所見はなく、3次元では表面平滑で病理所見と良く一致した。中等度群は2次元で全体的に等輝度で石灰化を示唆する高輝度は僅かで、3次元では病理所見に一致した表面の凹凸を確認できた。石灰化群は、2次元で石灰化を示唆する高輝度を広範囲に認め、3次元では病理所見に一致した表面の凹凸を確認できた。高度群は、2次元と3次元でともに著明な凹凸と潰瘍形成および潰瘍部に付着した血栓を確認でき、2次元より3次元のほうが病理所見に一致した全体像を評価出来た。3D TEE所見は、実際の病理所見と極めて酷似しており、2次元画像との組み合わせで病理診断に準じた大動脈動脈硬化進行度の評価が可能であった。 実績3.検査時に心電図上洞調律であった102例を解析し、左心耳の体積と発作性心房細動(PAF)の存在に関して検討した。左心房収縮時の体表面補正左心耳体積>1.85mlは感度95.7%、特異度56.9%でPAFを予測できた。左心耳血流速度<39cm/sが感度54.6%、特異度89.7%で、左心耳血流速度と体積によりPAFの存在を良好に予測可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースの構築は順調に進んでいる。H25年度も引き続き症例を蓄積していく(達成度100%)。大動脈弓部動脈硬化病変に関しては病理と3D TEEの関連を明らかにし、H24年6月29-30日に埼玉県大宮市で開催された第31回脳神経超音波学会で報告した(達成度80%)。左心耳の体積とPAFの関連に関する検討は、第31回脳神経超音波学会と本年2月5~8日に米国ホノルルで開催されたInternational Stroke Conference2013で報告し、現在論文の準備中である(達成度80%)。総合的な達成度を80%と自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度も引き続き症例の蓄積を行い、データベースに登録していく。大動脈弓部動脈硬化に関しては、脳梗塞やTIA患者の所見を米国心臓病協会の病理分類に準じて分類し、臨床背景や病型診断などとの関連を解析する。また、2次元の超音波所見と3次元の超音波所見の差異や、組み合わせの利点などを検討する。脳梗塞やTIAを発症後3ヵ月、1年後の転帰との関連の検討も行っていく。左心耳体積の検討では、左心耳体積と臨床情報との関連に関する解析を更にすすめる。また、左心耳内血栓の診断や経過観察における3次元評価の利点を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析用コンピューターシステム購入34万円、解析用ソフトウェア購入40万円、消耗品費20万円、国内旅費20万円、国外旅費50万円、人件費・謝金60万円、その他10万円 残額について、次年度使用計画にあげている、解析用のコンピューターと解析ソフトは、当初本年度に購入予定でしたが、本年度は症例収集に重点を置き、解析を次年度に持ち越したため、解析に必要な物品購入も次年度に繰り越しました。
|