2012 Fiscal Year Research-status Report
筋線維芽細胞自家移植による大型心筋梗塞後の左室リモデリング治療
Project/Area Number |
24591093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
竹村 元三 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40283311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
金森 寛充 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (20456502)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 / リモデリング / 細胞移植 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究では、自己筋線維芽細胞をホーミング関連分子で修飾し経静脈投与することにより梗塞部位に移植し、もって内因性ホーミング機構のアナロジーを利用し梗塞組織を構造的に改変し、大型梗塞後心不全に対する非侵襲的細胞治療法の開発を試みる。 平成24年度の到達目標は分子標的化筋線維芽細胞の調整であり、この目標は予定通り達成できた。すなわちGreen fluorescence protein トランスジェニック(GFP-Tg) マウス (C57BL6バックグラウンド) の皮膚から線維芽細胞を採取・培養し、Transforming growth factor-β1 (TGF-β1) で刺激し筋線維芽細胞に分化させた。筋線維芽細胞を移植細胞として選択した理由は、申請者らの以前の知見(梗塞巣における最も一般的な細胞であり温存されることで梗塞壁の壁厚維持に寄与する)に加え、筋線維芽細胞はα平滑筋アクチン線維を発現していて収縮能を有し創傷治癒過程において創を短縮させる作用がある。実際我々の観察では梗塞巣の筋線維芽細胞は左室の冠状方向に走行しており収縮により梗塞巣を短縮させると考えられる。これはすなわち左室内腔の縮小作用も期待できることを意味している。したがって同細胞を用いることは、左室壁ストレスを緩和する目的に対し、梗塞巣の壁厚を維持しかつ梗塞長を短縮させるという一石二鳥の効果が期待できる。次に採取した細胞の分子標的化を行った。すなわち、マウスのCCR2 (MCP-1の受容体)ならびにIntegrin β1 (fibronectinへの接着因子) の遺伝子をクローニングし、レンチウィルスを用いて、上記筋線維芽細胞に導入した。遺伝子導入の確認はWestern blotならびに免疫染色で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通りに進行し、分子標的化筋線維芽細胞の調整に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25、26年度では、動物を用いたvivoの系で、 心不全モデルにおける分子標的化細胞投与の治療効果の検討を行う。すなわち、C57BL6マウス(10-12週令オス)の左冠動脈結紮により左室自由壁の大部分が梗塞巣となり4週後には生存率約6割、生存マウスも著しい左室機能低下を呈する。この完成した心不全モデルに対し上記分子標的化細胞の投与を開始し、さらに4週後に評価する。移植細胞は、マウスから採取しホーミング関連分子標的化した細胞を、投与量を5 x 106個/マウス以下で、少なくとも3段階の細胞濃度に調節し、モデルマウスに尾静脈から経静脈的に投与する。心機能評価は心エコーならびに心臓カテーテル法で行う。心臓は、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡および、細胞分化の詳細を確認するために電子顕微鏡レベルでも検討する。加えて、全身臓器の病理検索を行い副作用の有無・程度を調べる。移植された細胞の追跡に関しては心筋組織内の移植細胞分布ならびに分化をGFPと細胞特異抗体による2重免疫染色で評価する。治療の有効性が確認されればその分子機序解明のため、タンパク発現、シグナル伝達をウェスタンブロッティング、免疫染色、ELISA等で検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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