2012 Fiscal Year Research-status Report
心不全発症・進展における新規治療標的としてのTRPC6/3の意義の解明
Project/Area Number |
24591095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 秀之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30467477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 宏一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30402887)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性心不全 |
Research Abstract |
最近申請者および分担研究者である桑原は、受容体活性化型Ca2+チャンネルであるTRPC6 が、種々の心肥大モデル動物やヒトの拡張型心筋症の心臓でcalcinurin 依存性に発現が亢進し、その下流でcalcineurin-NFAT 経路活性化を引き起こし、病的心筋リモデリングに関与していること、ANP/BNPの抗心肥大作用 がTRPC6 のリン酸化による事を明らかとし、TRPC6 阻害が強力な病的心肥大抑制治療となる可能性を示した。本申請研究では、心血管病の最終的な病態である慢性心不全におけるTRPC6、およびTRPC6 と複合体を形成するTRPC3、両者の役割とその詳細な分子機序解明を行い、TRPC6 阻害の治療的効果を動物モデルを用いて検討した。 1,心不全モデル動物における慢性心不全発症に対するTRPC 阻害薬の効果の解析;本申請研究の分担研究者である桑原は、転写抑制因子であるNRSF の優性抑制変異体を心筋特異的に過剰発現させたマウス(dnNRSF-Tg)が、進行性の心機能低下と致死性不整脈による突然死を発症し、有用な慢性心不全・突然死モデルマウスであることを報告している。このdnNRSF-Tg の心室にてTRPC6の発現が亢進していることを発見し、TRPC3選択的阻害薬を投与することにより、dnNRSF-Tgにて認められる心機能低下の抑制を認めた。 2,肺高血圧モデル動物におけるTRPC 阻害効果の解析;monocrotaline pyrrole投与による肺高血圧モデルマウスにおいても、肺におけるTRPC6の発現亢進を認め、TRPC阻害薬投与により、右室収縮気圧の上昇・右室肥大を抑制した。 上記結果は、TRPC阻害薬が病的心臓リモデリングを抑制する可能性を示す結果と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、心血管病の最終的な病態である慢性心不全におけるTRPC6、およびTRPC6 と複合体 を形成するTRPC3、両者の役割とその詳細な分子機序解明を行い、TRPC6 阻害の治療的効果と臨床的意義を明ら かにする事を目指すものである。われわれは有用な心不全・突然死モデル動物であるdnNRSF-Tgモデルマウスを用いて解析を行い、その心室にてTRPC6の発現が亢進していることを明らかとし、TRPC阻害薬が心機能低下を抑制するという結果を見いだした。以上のことより、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後引き続き、TRPC3/6阻害による慢性心不全発症・進展抑制効果の検討を行う。 1,心不全モデルマウスを用いた心不全、心室性不整脈、突然死に対するTRPC 阻害効果の検討とTRPC6/3 下流 シグナルの解析;前年度に引き続き、慢性心不全・突然死モデルマウスであるdnNRSF-Tg マウスを始めとした種 々の心不全モデル動物に対するTRPC 阻害効果の検討を行う。本年度はさらに、慢性心不全における、TRPC6/3下流シグナルとその調節機構の解析として、Calcineurin-NFAT 経路以外に、MAPK 経路, CaMKII経路の活性化、酸化ストレスシグナル等に対するTRPC6/3 の効果を、生化学的、分子生物学的側面から検討を行う。さらにTRPC阻害薬やTRPC3 阻害薬を投与した慢性心不全モデルマウスの心臓での遺伝子発現プロファイルを、マイクロアレイを用いて解析することにより、網羅的にTRPC、特にTRPC6/3 の下流シグナルおよびその標的遺伝子の解析も行う。 2,培養心筋・心線維芽細胞を用いた、TRPC 阻害効果の検討;前年に引き続き、心筋細胞や心線維芽細胞など の培養細胞を用いて、siRNA やTRPC 阻害薬であるBTP2、選択的TRPC3 阻害薬であるPyrazole3 投与によるTRPC6/3 阻害の効果を、NFAT 依存性転写活性、Ca2+流入当にtえ評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種動物モデルの飼育費、各種試薬の購入、心機能解析機器の維持費に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Direct immunochemiluminescent assay for proBNP and total BNP in human plasma proBNP and total BNP levels in normal and heart failure.2013
Author(s)
Nishikimi T, Okamoto H, Nakamura M, Ogawa N, Horii K, Nagata K, Nakagawa Y, Kinoshita H, Yamada C, Nakao K, Minami T, Kuwabara Y, Kuwahara K, Masuda I, Kangawa K, Minamino N, Nakao K.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 8
Pages: e53233
DOI
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[Presentation] Transcriptional Repressor NRSF Plays an Essential Role in Maintaining Normal Cardiac Structure and Function After Birt2013
Author(s)
桑原佳宏, 桑原宏一郎, 木下秀之, 中川靖章, 宇佐美覚, 保野慎治, 中尾一泰, 南丈也, 山田優子, 山田千夏, 桑原純子, 錦見俊雄, 上嶋健治, 中尾一和
Organizer
日本循環器病学会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
20130315-20130317
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[Presentation] Overexpression of HCN Channels in Failing Heart Contributes to Increased Ventricular Arrhythmicity2012
Author(s)
Y. Kuwabara, K. Kuwahara, M. Takano, H. Kinoshita, Y. Nakagawa, S. Usami, K. Nakao, T. Minami, Y. Yamada, C. Yamada, J. Shibata, S. Yasuno, T. Nishikimi, K. Ueshima, K. Nakao
Organizer
Basic Cardiovascular Science 2012
Place of Presentation
New Orleans
Year and Date
20120723-20120726
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