2012 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン系制御によるES・iPS細胞から心筋細胞への効率的分化誘導法の開発
Project/Area Number |
24591105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
朝倉 正紀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究科開発基盤センター, 室長 (80443505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 部長 (20294069)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心筋分化 / ユビキチン / プロテアソーム系 |
Research Abstract |
重症心不全の新たな診断・治療法の開発は喫緊の課題であり、幹細胞から心筋細胞への分化機序を詳細に解明することが重要である。ES幹細胞から心筋細胞への分化因子を同定する目的で、網羅的遺伝子発現解析を施行したところ、ユビキチンプロテアソーム系分子であるE3リガーゼAsbの同定に成功した。C2C12細胞から筋系細胞への分化に伴い、Asb遺伝子発現が亢進する一方、BMP添加による骨系細胞への誘導では発現亢進を認めないことを見出した。この結果は、筋系細胞への分化に選択的に重要な役割をしていることを示唆する所見である。E3リガーゼであるAsb蛋白の基質探索が本研究を進めるうえで大変重要であり、生化学的結合実験によるクローニングとin silicoによるデータベースを用いたクローニングを進めた。データベースの探索から、既に報告されているfilaminA/Bに加えて、BMPシグナルに関与する分子がAsb蛋白の標的候補として同定された。強制発現システムを用いた結合実験により確認したところ、両分子が結合する可能性が分かってきた。Asb分子を遺伝子欠損したES細胞の実験が本研究で有用であると考え、両アレルのAsb遺伝子が欠損したES細胞を作成することを目標に、Asb遺伝子欠損ES細胞樹立を進めている。従来の研究からBMPシグナルは心筋発生に極めて重要な役割を演じていることから、Asb遺伝子が心筋発生におけるBMPシグナルを修飾している可能性があり、現在、研究を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の記載している平成24年度に予定していたE3リガーゼであるAsb蛋白の心筋細胞への分化における基質の探索に関しては、in silicoによるデータベース探索をもとに候補分子の同定をしている。現在、生化学的検討により、本候補分子がAsb蛋白の標的であるかの確認を進行中である。また、平成24年度に行う予定であったAsb遺伝子欠損ES細胞の樹立に向けた研究もすでに開始をしている。平成24年度に行う予定の計画がほぼ順調に研究を進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究に関して、当初に計画した研究計画書に基づき進めていく予定である。平成25年度はE3リガーゼであるAsb蛋白の基質候補分子を用いた生化学的解析を中心に行い、同定した基質候補分子がAsb蛋白のユビキチン化標的分子かどうかを確認することを目指す。具体的には、Asb分子と基質候補分子を強制発現し、基質候補分子がAsb分子によりユビキチン化され、基質蛋白が分解されるか否かを検討する。基質蛋白が分解されることが明らかとなれば、その蛋白分解をtime-chaseで行い、時間と共に蛋白分解が進むかを評価し、プロテアソーム阻害薬であるMG132やラクタシスチンで蛋白分解が阻害できるか否かを検討する。また、同定された基質とAsb蛋白の関係を心筋発生分化の系で評価するため、P19CL6細胞から心筋細胞への実験系を用いた機能評価の準備を進める。さらに、平成24年度に引き続き、Asb遺伝子欠損ES細胞樹立に向けた研究を進める。これらの基礎研究を進めることで、心筋分化におけるAsb分子の新たな基質同定を明らかにすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は研究計画書に基づき、必要に応じ研究費を執行し、当初の見込み額と異なったが、研究計画は順調に進んでおり、今年度も当初の研究計画から大幅な変更はなく、前年度の研究費も含めて、予定通り研究計画を遂行する。
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