2012 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症血管平滑筋におけるNotch-TGFbeta-PIAS1経路の解明
Project/Area Number |
24591108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小和瀬 桂子 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50594264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00215047)
中原 健裕 群馬大学, 医学部, 医員 (00599540)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 |
Research Abstract |
肺動脈高血圧症(PAH)の病態にはtransforming growth factor(TGF)-betaとbone morphogenic protein 2(BMP2)シグナルの不均衡という説が有力である。私たちは、血管平滑筋細胞において、TGFbetaが平滑筋分化マーカーを誘導する機序に、ユビキチン様修飾(SUMO)化E3リガーゼのprotein inhibitor of activated STAT 1 (PIAS1)が関与することを見出した。また、NotchシグナルもTGFbetaや平滑筋分化マーカーの発現を誘導し、筋線維芽細胞へ分化誘導させる可能性を示した。本研究は、PAHの発症と進展には、血管平滑筋細胞の形質変換や分化誘導の調節異常が本質的な役割を持つとの観点から、Notch-TGFbeta-PIAS1経路を解明することを目的とする。 PIAS1は様々な転写因子と結合し、その因子をSUMO化することにより、その転写活性を調節することが知られている。そのため、培養ヒト肺動脈平滑筋細胞において、NotchシグナルやTGFbetaによる平滑筋分化マーカーの誘導にPIAS1が関与しているか否かをsiRNAを用いて検討した。培養ヒト肺動脈平滑筋細胞をTGFbetaで刺激したところ、24時間をピークとして、平滑筋分化マーカーが誘導された。また、血管石灰化を抑制すると考えられるosteoprotegerinも誘導された。この発現誘導にPIAS1やSUMO化が関与しているかどうかを検討するために、PIAS1と、 SUMO化E2リガーゼであるubc9のsiRNAを用いたところ、発現誘導を抑制した。そのため、肺血管において、TGFbetaは平滑筋分化マーカーやosteoprotegerinを誘導し、その誘導には、PIAS1やSUMO化が関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺高血圧患者や、マウスモデルを用いた免疫染色において、非特異的反応が多く、適切な実験条件が現時点では難しい状態である。また、肺高血圧患者の剖検例が少ないため、ヒト剖検例でのNotchシグナルや、PIAS1、TGFbeatシグナルの免疫染色の結論が未だ出ていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
モノクロタリン誘発肺高血圧モデルマウスや低酸素誘発肺高血圧モデルマウスを作成し、その際の、Notch1, Dll4, HERP1, PIAS1, TGFbeta, TGFbetaRII, BMP2, BMP2Rの発現変化を免疫染色、in situハイブリダイゼーション、real-time RT-PCR法にて検討する。また、これらの因子が、平滑筋のどの分化段階で発現しているか明らかにするために、他の平滑筋分化調節因子(myocardin, Kruppel-like factors, GATA6等)の局在も同時に検討し、転写因子の発現から見た肺高血圧血管病変の特徴を明らかにする。 培養肺動脈平滑筋細胞において、TGFbetaによる平滑筋分化マーカーの誘導にPIAS1が関与していることを示せたため、種々の転写因子が結合すると考えられる部位に変異を持つSM alpha-actinやSM-MHC、SM22alphaのプロモーター/レポーターコンストラクトを用い、培養肺動脈平滑筋細胞にて、ルシフェラーゼアッセイ法にてNotchシグナルやTGFbetaシグナルの反応部位を検討する。ついで、その結合サイトに結合する転写因子をChIP assayにて検討する。また、Sumoylation assay法にてその結合因子がSUMO化されるかどうかを検討する。さらに、degradation assay等により、蛋白の転写後修飾について、検討する。肺高血圧症の発症の仮説として、近年、肺動脈末梢血管にある前駆細胞群の増殖や分化転換が提唱されている。そのため、上記の検討を肺血管内膜内皮細胞でも行い、NotchシグナルあるいはTGFbetaシグナルが、平滑筋様細胞、あるいは血管内皮および平滑筋細胞マーカーを同時発現するtransitional cellsへの分化転換を誘導するか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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