2012 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症の新規治療ターゲット、筋特異的カベオラタンパクMURCの機能解析
Project/Area Number |
24591119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小形 岳寛 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402877)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 平滑筋 / カベオラ |
Research Abstract |
肺動脈性肺高血圧症の促進には、以前からRhoA/ROCKシグナルが重要な役割を果たしていると報告されており、ROCK阻害薬は実臨床でも使用されるようになりその効果も確認されている。申請者は2008年に筋特異的発現遺伝子(MURCと命名)を同定し、心筋、骨格筋細胞における役割の解析を行ってきたが、その中でMURC過剰発現により心肥大を経由して心不全にいたることを報告し、この機序にMURCが心筋細胞内のRhoA/ROCKシグナル伝達に大きな役割を果たしていることを報告した。MURCは心筋細胞、骨格筋細胞だけでなく血管平滑筋細胞にも発現を認めることから、本研究では以下の研究計画によりMURCの血管平滑筋細胞での機能を詳細に明らかにすることを目的としている。平成24年度では以下の項目について検討を行った。 ①血管平滑筋細胞におけるMURCとカベオラの関係の検討 ②MURCの血管平滑筋細胞の増殖能・遊走能への関与の検討 まず、血管平滑筋細胞のカベオラとMURCの関係を明らかにするために、ラット大動脈からコラゲナーゼ処理などを経て血管平滑筋細胞を単離し、MURCの局在を免疫染色にて検討したところ細胞膜上に局在していることが明らかになった。さらにカベオラへの局在が報告されているcaveolin-1との免疫沈降反応で互いに結合していることが分かり、間接的にだがMURCがcaveolin-1と共に細胞膜上のカベオラに共局在していることを示すことが出来た。カベオラ関連タンパクはカベオラ形成に重要であると言われていたため、レトロウイルスベクターを用いMURC発現抑制を行ったが血管平滑筋細胞上のカベオラには変化を認めなかった。同じくレトロウイルスベクターを用いMURC過剰発現または発現抑制させた血管平滑筋細胞の増殖能、遊走能を検討した結果、MURCは増殖・遊走とも正に制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した項目についてはすべて検討することが出来ており、「MURCがカベオラ形成に必須ではなかった」という点が予想外であったものの、その他の結果については概ね予想通りの結果となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果をもとに、以下の検討を行う。 ①RhoA/ROCKシグナルのキー分子(RhoA,RhoGEF,RhoGAPなど)とMURCの関係の検討 血管平滑筋細胞でMURCがRhoA活性を変化させるか検討し、さらにROCK阻害薬でMURCによる増殖能・遊走能亢進が影響を受けるか確認する。RhoA/ROCKシグナルにはRhoA(GTP or GDP form)、RhoGEF、RhoGAPなど様々な分子が関わっており、カベオラは様々な蛋白を膜で活性化させるのに重要な役割を担っていることも知られていることから、MURCとそれら分子を免疫沈降反応やpull-down assayなどを用いて結合性を検討する。また、肺高血圧患者にはエンドセリン(ET)拮抗薬が治療に使われるが、ETがET受容体に結合すると三量体G蛋白質(G12/13)を介してRhoを活性化しその後のシグナルを伝えることが知られている。そのため、Rho関連分子以外にG12/13とMURCの関係も上記同様に検討し、ET受容体刺激からのRhoAシグナル経路にMURCが関与しているかどうかを検討する。 ②MURC欠損マウスに低酸素負荷を行い作成した肺高血圧モデルでのMURCの役割の検討 WTとMURC-KOそれぞれに対して低酸素負荷による肺高血圧を作成し、肺高血圧の程度や肺動脈における内膜肥厚の程度を比較検討する。さらに、肺組織からのmRNAやタンパク発現などを使い、Rho/ROCKシグナルを中心に比較して、肺高血圧におけるMURCの役割を詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)