2013 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍壊死因子スーパーファミリーLIGHTによる上皮間葉転換の機序の解明
Project/Area Number |
24591125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 康宏 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (00323585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸山 正 帝京大学, 医学部, 准教授 (00302703)
城 大祐 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30376470)
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Keywords | LIGHT/ TNFSF14 / EMT / E-cadherin / Vimentin |
Research Abstract |
気管支喘息における気道リモデリングは気流制限の難治性病態の形成につながるため、その機序の解明に向けて世界的に研究がすすめられている。我々はリモデリング形成において上皮細胞の上皮間葉転換(EMT)による間葉細胞が重要な役割をはたすと考えて、研究をすすめている。近年、炎症性病態に重要な役割を果たすLIGHT(TNFSF14)が重症喘息の気道炎症に深く関与し気道リモデリングに影響することが報告されたので、LIGHTがEMTに与える影響についてや、LIGHTによる気道炎症への影響について、検討をすすめている。 前年度には、気道系上皮細胞株であるA549細胞を用いて、LIGHT刺激により、上皮細胞マーカーであるE-cadherinが抑制され、間葉系マーカーであるvimentinなどが誘導されることを確認し、又、LIGHTはTGF-bによるを増強することが判明した。 今年度は、気道系上皮細胞として、BEAS-2B細胞およびNormal human bronchial epithelial cells(NHBE細胞)を用いて、LIGHTによる気道上皮細胞へのEMTへの影響を検討した。LIGHT刺激でのEMTについては、両細胞ともに、A549細胞と比較して、形態学的変化は、著明ではなかった。また、mRNAレベルでの、E-cadherinの発現は若干抑制される傾向を認める程度であり、vimentinの発現は特に影響を受けなかった。つまり、LIGHTによる刺激では、BEAS-2B細胞およびNHBE細胞に、EMTを誘導することは難しいと考えられた。 しかしながら、BEAS-2B細胞およびNHBE細胞において、LIGHT刺激によるCXCl-8/IL-8をはじめとするケモカイン産生が誘導されることが判明した。現在、LIGHTによるケモカイン産生による気道炎症への影響に関して、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気道上皮細胞株であるA549細胞では、LIGHTによりEMTが誘導され、上皮系細胞が間葉系細胞となり、機能獲得やその細胞内シグナルなどの機序について、確認できた。 ところが、異なる気道上皮細胞株であるBEAS-2B細胞やNHBE細胞では、LIGHTによるEMTは誘導されない(されにくい)ということが判明した。 しかし、BEAS-2B細胞やNHBE細胞では、LIGHTによるケモカイン産生が誘導されることが判明し、LIGHTによるケモカイン産生は、気道炎症において重要な役割を果たすと示唆されることにつながる。また、LIGHTに対する受容体であるHVEMおよびLTbRの発現について、BEAS-2B細胞では、HVEMの発現は乏しく、LTbRの発現が優位であることも判明した。したがって、LIGHT刺激によるLTbRからの刺激は、EMTに影響しにくい可能性があり、気道炎症に関連している可能性が高いとも思われる。 以上より、現時点では、順調な経過で、検討が進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
LIGHTによる気道上皮細胞への影響について、引き続き、検討していく。 LIGHTによる気道上皮細胞のEMTについての影響については、上述のごとく、BEAS-2B細胞やNHBEでのEMTは誘導されにくいことが判明したため、これ以上のEMT誘導に関わる研究は遂行しがたいと考える。しかしながら、気道炎症によるリモデリングという観点から、今後も、LIGHTが気道炎症を惹起することに関する検討をすすめたいと考える。 今後は、特に、気道上皮細胞へのケモカインの産生に重点をおいて、LTbRからのシグナル伝達機序やケモカインの産生機序について、さらに検討をすすめることとする。つまり、LTbRのsiRNAによるknock downを用いたり、細胞内シグナル伝達経路の阻害剤などを用いた検討を進めて、LIGHTによるケモカイン産生の機序について評価を進めていくこととする。 以上の経緯を踏まえて、今後も、LIGHT/TNFSF14が気道リモデリングに及ぼす影響や気道炎症に及ぼす影響などを追及していく予定である。
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