2013 Fiscal Year Research-status Report
B7-H1発現の薬物的制御によるCOPD・喘息の増悪の治療を目指す基盤研究
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24591132
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松元 幸一郎 九州大学, 大学病院, 講師 (60325462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 聡 九州大学, 大学病院, 助教 (50380530)
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Keywords | B7-H1 / PD-L1 / poly IC / virus / PI3 kinase delta / mouse |
Research Abstract |
【背景】平成24年度におけるヒト気道上皮培養株BEAS-2Bを用いた研究によって、ウィルス関連分子2本鎖RNA(poly IC)刺激によるB7-H1/PD-L1発現増強がPI3K-delta阻害剤によって抑制されることを明らかにし、論文発表した(Kan-o K, et al. BBRC 2013)。 【目的】平成25年度においては、上記のin vitroの研究成果がin vivoの実験系でも同様にみとめられるかを検討した。 【方法】マウスに吸入麻酔下でpoly ICを気管内投与(単回投与)し、24時間後における気道炎症を気管支肺胞洗浄液の細胞分画で解析し、さらに肺細切後の細胞浮遊液を用いて気道上皮細胞におけるB7-H1/PD-L1発現をフローサイトメトリー法で解析した。 【結果】poly IC投与によって好中球性気道炎症が惹起され、また気道上皮細胞におけるB7-H1/PD-L1発現が増強した。PI3K-delta阻害剤をpoly IC投与の4時間前に気管内投与すると、好中球性気道炎症には影響を与えずに気道上皮細胞におけるB7-H1/PD-L1発現を抑制することが明らかとなった。 【結論】ウィルス感染によるB7-H1/PD-L1発現誘導はPI3K-delta阻害剤投与によって減弱し、ウィルス感染の遷延化を防ぐ治療に応用できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主要な達成目標としていたマウスを用いたin vivoでの検証が比較的順調に達成され、得られた実験結果も我々が予想していた仮説を裏付けるものであったこと。なお、好中球性気道炎症についてはPI3K-delta阻害剤投与によって明らかな抑制効果が認めれられず、その理由については未だ解明できていない。これらの結果を踏まえておおむね順調と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度でおこなった実験系ではpoly IC投与量が比較的少量であり、軽度の気道ウィルス感染モデルとみなされる。より高用量のpoly IC投与モデル(COPD類似病態モデル)におけるPI3K-delta阻害剤の効果を検証する。効果不十分である場合はステロイド剤との併用によるB7-H1/PD-L1発現の制御の可能性を検討する。また、卵白アルブミンを模擬抗原とするマウス喘息モデルにおいてもpoly IC投与を組み合わせて感染と喘息の複合モデルとし、その病態におけるPI3K-delta阻害剤の効果を検証する。
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