2013 Fiscal Year Research-status Report
COPD患者の予後改善に向けた新しい個別化治療ストラテジーの構築
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24591136
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
南方 良章 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80295815)
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Keywords | physical activity / COPD / accelerometer |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の日常活動性は、予後と有意な関係を示し、COPD死亡の最大の危険因子とされている。しかし、日常活動性の標準的評価法は現在確立していない。1年目では、本邦で使用可能な3軸加速度計(アクティマーカー)を用い、COPD患者の代表的活動性を計測する標準法を構築し、Internal Medicine誌ならびにRespiration誌に掲載された。 2年目では、本邦におけるCOPD患者の活動性の特徴を、健常高齢者と比較することで検討した。平均活動強度は、COPD患者では健常者に比較し有意に低下していることが確認でき、活動強度別の活動時間を分析すると、≧2.0METs, ≧2.5METs, ≧3.0METs, ≧3.5METsのいずれの活動強度においてもCOPD患者で有意な活動時間の短縮が認められ、特に活動内容が高強度になるほど顕著であった。活動時間の低下率は、成人の通常歩行速度である4.0km/hrでの平地歩行程度の活動で約50%低下、それ以上の強度の活動では約70%低下していることが判明した。さらに、活動時間は、呼吸機能検査ではFVC, FEV1、拡散能の指標であるDLCO/VAと有意な相関関係を示し、その他、呼吸困難の指標であるmMRC, 運動耐容の指標であるシャトルウォーキング試験歩行距離、さらには、複合指標であるADO indexやBODE indexなどとも有意な相関関係を示した。また、活動性の改善効果を評価する目的で、現行治療に貼付型気管支拡張薬であるツロブテロールの上乗せ投与を行い、活動性の改善効果を評価した。その結果、ツロブテロール投与後、比較的高強度の活動時間が有意な延長を示した。これらの結果は、Respiratory Investigation誌ならびにClinical Research in Pulmonology誌に掲載された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の成果として、日本人COPD患者の日常活動性測定法を確立でき、2年目にはその方法を用いて、日常活動性低下の特徴を抽出した結果、低下率を数値化することができ、COPD患者の身体活動性低下を理解しやすく提示することが可能となった。日常活動性低下に関与する因子として、呼吸機能、呼吸困難感、運動耐容能などの関与が考えられ、COPDの病態を反映するといわれるADO indexやBODE indexといった複合指標とも相関することを示すことができた。しかし、活動性測定患者総数がやや不十分で、抽出された因子に基づいた日常活動時間の標準式作成には至らなかった。また、少数例ではあるが、貼付型気管支拡張薬であるツロブテロールによる日常活動性改善効果についても示すことができた。標準式作成と活動性改善を目指した医療介入とその効果の評価については3年目に検討を進める。しかし、COPDの日常活動性に関わる因子分析を行うという2年目の最大目的が達成できたので、達成度として80%は達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数を増加させ、日常活動時間あるいは活動量の標準式作成を行う。さらに、日常活動性を改善させる方法の検討を中心に、まず、安定期の管理としてガイドラインで推奨されている吸入長時間作用型気管支拡張薬を中心とした薬物治療の効果を検討する。同時に、血中サイトカインや呼気NOなどの生化学的マーカーの変化との関係も検討する。さらに、運動療法を含む非薬物療法よる改善効果について検討する。ただし、慢性進行性疾患であるCOPD患者に対しては、一過性の活動性向上効果がみられたとしても介入終了後に低下するものは適切ではなく、弱い強度でも長期的に継続可能な医療介入が重要と考えられる。レクリエーションの要素を含み、意欲的に長期的継続参加可能な運動療法を模索し、実施可能かどうか、継続性があるかどうかなどについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
COPD患者の活動性の特徴について生理学的因子を中心に行い、生化学的因子の検討が十分実施できなかった。生理学的因子については既存の測定機器を使用することより助成金の支出が少なく、生化学的因子の測定キット等を使用しなかったため、全体として次年度使用額が生じた。次年度には、生化学的検討も加えて、助成金の使用を考えている。 気管支拡張薬等による日常活動性改善効果と、生理学的因子および生化学的因子の改善との関係を検討する。特に生化学的因子として、TNF-α, IL-8, 高感度CRPなどに加え、呼気一酸化窒素(NO)濃度の測定を予定する。これら測定のため、各種ELISAキットやNIOX MINOの本体ならびに測定用センサーなどの購入を予定する。
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[Journal Article] Reduced level of physical activity in Japanese patients with chronic obstructive pulmonary disease2014
Author(s)
Minakata Y, Sugino A, Kanda M, Ichikawa T, Akamatsu K, Koarai A, Hirano T, Nakanishi M, Sugiura H, Matsunaga K, Ichinose M
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Journal Title
Respiratory investigation
Volume: 52
Pages: 41-48
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 25-hydroxycholesterol promotes fibroblast-mediated tissue remodeling through NF-kB dependent pathway2013
Author(s)
Ichikawa T, Sugiura H, Koarai A, Kikuchi T, Hiramatsu M, Kawabata H, Akamatsu K, Hirano T, Nakanishi M, Matsunaga K, Minakata Y, Ichinose M
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Journal Title
Exp Cell Res
Volume: 319
Pages: 1176-1186
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Cigarette smoke augments MUC5AC mucin production via TLR3-EGFR pathway in airway epithelial cells2013
Author(s)
Kanai K, Koarai A, Sugiura H, Ichikawa T, Kikuchi T, Akamatsu K, Hirano T, Nakanishi M, Matsunaga K, Minakata Y, Ichinose M
Organizer
2013 ERS Annual Congress
Place of Presentation
Barcelona, Spain
Year and Date
20130910-20130910
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