2013 Fiscal Year Research-status Report
COPD患者における肺気腫の進行抑制のための分子基盤の研究
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24591138
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
党 雅子 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90595597)
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Keywords | 肺気腫 / 慢性閉塞性肺疾患 / HIF-1α / VEGF |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的に増加しつつある疾患であり、本疾患による社会的負荷が増大傾向にある。本疾患の進行には肺気腫の進行が重要な役割を占めている。本研究の最終目的は、肺気腫の進行を止める手段の開発である。 我々は以前に、COPD患者では低酸素下でのHIF-1αとHDAC7の核内移行が対照群と比較して低下している事を発表した。HIF-1αはVEGFの転写因子であり、HIF-1αの核内移行の低下は、肺の血管床の低下、つまり肺気腫の進行に関与している可能性が考えられる。一方で低酸素は、炎症性サイトカインや蛋白分解酵素の誘導を行う事が知られている。以上より、HIF-1αの核内移行の低下しているCOPD患者においては、低酸素への適応および肺微小血管系の増殖を図る経路(hypoxia→HIF-1α経路)は抑制されているが、低酸素による炎症および蛋白分解促進の経路(hypoxia→炎症性サイトカイン産生)は保たれており、このバランスの崩れが、肺気腫の進行に関与しているという仮説を立てた。 A549細胞を酸素 1%, 二酸化炭素 5%下で24時間培養し、核蛋白抽出液、胞体内蛋白抽出液、mRNAを得て各種の測定を行った。低酸素暴露により、HDAC7 mRNA量は変化しないが、胞体内蛋白抽出液中のHDAC7は減少、核蛋白抽出液中のHDAC7は増加した。低酸素暴露により、NF-kB p65 DNA結合活性の増加とIL-8、MMP-9の産生増加とがみられた。これらはいずれもHDAC7 knockdownの影響を受けなかったが、inhibitor of nuclear factor kappa-B kinase subunit beta阻害薬で抑制がみられた。よって、hypoxia→炎症性サイトカイン産生の経路は、NF-kB依存性、HDAC7非依存性であると考えた。低酸素暴露によるHIF-1αの核内移行とVEGFの産生増加は、HDAC7 knockdownにより抑制がみられた。 以上の研究成果の一部は、ERS Annual Congress 2013で発表した。今後、以上の結果をもとに臨床検体での確認を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者の勤務する病院の診療体制の変化で、臨床検体の収集開始が遅れた。 しかしその間に、健常者の血液を用い、臨床検体の解析に関するoptimisationを行った。また、患者のリクルートに関しても、システムの再構築が完了し、来月から患者のリクルートができる体制が整った。 集中的に臨床検体を収集できる環境が整ったので、この遅延は今後回復できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞株で証明した仮説(HDAC7の低下により生ずる、低酸素への適応および肺微小血管系の増殖を図る経路と、低酸素による炎症および蛋白分解促進の経路のバランスのくずれ)を、COPD患者から得た臨床検体を用いて明らかにしていく。 現在は血液の採取と分子生物学的解析についてのoptimisationが終了したところである。来月より、患者のリクルートを開始する予定である。 COPD患者および正常対象者をリクルートし、臨床データ(スパイロメトリー、6分間歩行(歩行距離と前後のSpO2)、残気量と肺拡散能の測定、胸部CT)を収集する。さらに血液を20ml採取し、血漿を得るとともにperipheral blood mononuclear cell (PBMC)を分離する。PBMCは、酸素 1%, 二酸化炭素 5%下で24時間培養し、培養上清と細胞を回収する。培養後のPBMCからは、核蛋白抽出液、胞体内蛋白抽出液、cDNA(mRNAを逆転写したもの)を得て、-80度で一旦保存する。COPDの病態は多様である可能性があるので、100例のリクルートを行う。患者および対象群のリクルートの終了後、凍結保存してあった検体の各種の解析を行う。さらには、臨床データ(画像および呼吸機能データ)と分子生物学的解析との関連もあわせて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床検体の収集の開始がやや遅れていたため、このために使用する試薬の購入を2014年4月以降に延期したため。 当初の予定どおり、臨床検体(血液)から、細胞や、細胞内の蛋白質を分離するための試薬を購入する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The utility of galactomannan antigen in the bronchial washing and serum for diagnosing pulmonary aspergillosis.2013
Author(s)
Kono Y, Tsushima K, Yamaguchi K, Kurita N, Soeda S, Fujiwara A, Sugiyama S, Togashi Y, Kasagi S, To M, To Y, Setoguchi Y
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Journal Title
Respir Med
Volume: 107
Pages: 1094-1100
DOI
Peer Reviewed
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