2012 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーによる慢性閉塞性肺疾患の増悪メカニズムの検討
Project/Area Number |
24591142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 健男 日本医科大学, 医学部, 講師 (90445750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 弘一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 増悪 / オートファジー / 遺伝子多型 / 病態関連遺伝子 |
Research Abstract |
1. NODs, オートファジー関連蛋白ATG16L1の遺伝子多型とCOPD増悪頻度の関連:増悪頻度データのあるCOPD 150症例において、NOD1, NOD2,ATG16L1のSNPの遺伝子型と増悪頻度との関連を検証した。NOD1のcSNPの一つであるRs2075820は、増悪頻度との有意な関連を認めなかった。ただ、本SNPのCアレルの頻度はCOPDの閉塞性障害の程度(FEV1%pred)と有意に関連していた(p = 0.0128. 年齢、性別、pack-yearsで補正)。同SNPは、増悪を介さずCOPDの閉塞性障害そのものとの関連があると考えている。 2. NOD1 経路のCOPDの病態への関与メカニズムの検討:NOD1の刺激でCOPD の気道病変の形成が進むと推測したため、好中球系細胞にてNOD1の刺激により有意に変化する遺伝子にCOPDの病態関連遺伝子があると仮定。そこで、好中球のモデル細胞の一つであるHL-60をNOD1 stimulant (M-TriDAP)で刺激、有意にmRNA発現の変動する遺伝子をマイクロアレイで検討。発現が2倍以上増加した遺伝子が29遺伝子、2倍以上発現が減少していた遺伝子が111遺伝子見られた。 3. オートファジーの細菌への免疫応答への関与のin vitroでの検証:オートファゴソームの追跡のため、オートファゴソームに局在する蛋白LC3と緑色蛍光蛋白RFPのfusion protein LC3-GFPのstable transfectantをヒト肺由来細胞BEAS-2B、骨髄由来細胞THP-1について作成中。末梢血白血球からの単球の分離培養はフィコール法などを用いて分離ののちmacrophage serum-free medium (Gibco/LifeTechnologies)を用いて培養、系が不安定で、安定した系を模索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の昨年度研究計画としては、NODs及びATG16L1のSNPと増悪との関連検討、及びメカニズムの検討のため培養細胞モデルの構築やヒト細胞での検討のための系の作成となっている。 NODsとATG16L1のcSNPとCOPD増悪との関連は昨年度までで検討済みである。ATG16L1のSNPと増悪は関連したものの、残念ながらNODsのSNPとの関連は見られなかったため、NOD-ATG16L1の系と増悪との関連の可能性は低いと思われる。ただし、ATG16L1自体が増悪と関連するメカニズムの解明は、ATG16L1と相互作用の報告されたTLR2 or TMEM59について、引き続き探索する予定である(下記、来年度推進方策に詳細)。研究の比較的早期の段階でNODの経路の可能性を否定し他のATG16L1関連の経路の可能性を模索できることになり、ATG16L1関連増悪メカニズムの探索を引き続き進められると考えられる。 また、同研究の結果として、新規にNOD1のcSNPとCOPD自体との関連が見出され、その関係を梃にCOPDの病態に関与しているNOD1からの経路の探索を開始した。COPDにおいて増悪を介さない病態進行のメカニズム解明の可能性が見込まれる。 増悪へのオートファジー関連メカニズム探索のための細胞での系の構築はやや遅れているが進めており、ヒト単球の分離培養はできるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
NODsとATG16L1のcSNPとCOPD増悪との関連は検討し、結果が得られている。ATG16L1のSNPと増悪は関連したものの、残念ながらNODsのSNPとの関連は見られなかった。よってNOD-ATG16L1の系と増悪との関連の可能性は低いと思われる。ただし、ATG16L1自体が増悪と関連するメカニズムの解明は引き続き行う予定である。本研究費申請ののち、新たにTLR2, TMEM59はATG16L1とinteractionし、後者は黄色ブドウ球菌感染への反応をオートファジーを介して行うことが報告されており(Boada-Romero E, et al. EMBO J. 32: 566-582; 2013)、TLR2 or TMEM59-ATG16L1経路と増悪との関連可能性を引き続き探索する予定である。研究の比較的早期の段階でNODの経路の可能性を否定し他のATG16L1関連の経路の可能性を模索できることになり、順調に増悪メカニズムの探索を進められていると考えられる。 また、同研究の結果として、新規にNOD1のcSNPとCOPD自体との関連が見出され、その関係を梃にCOPDの病態に関与しているNOD1からの経路の探索を開始した。COPDにおいて増悪を介さない病態進行のメカニズム解明の可能性が見込まれる。NOD1により有意に発現量が変動し、かつCOPDの病態進行を抑制するとされるfluticason, vitamin Dなどによる発現変動の抑制のかかる遺伝子を探索し、COPD病態関連遺伝子の絞り込みを行う予定としている。 オートファジーを介した増悪メカニズムの細胞系を用いた解析は、まずは系の構築を引き続き進める予定としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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