2012 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の新たな個別化治療の確立を目指したNampt遺伝子の変異解析とその機能解析
Project/Area Number |
24591147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大崎 能伸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30191935)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
マウス肺癌培養細胞の肺転移モデルを用いて、プロスタサイクリンアナログの腫瘍血管に対する効果を検討した。マウス肺転移モデルは、ルイス肺癌細胞の尾静脈注射により作成した。準備的な実験として、培養ルイス肺癌細胞の培養液中にプロスタサイクリンアナログを添加しても、培養肺癌細胞の増殖には影響を与えなかった。マウスの肺転移モデルマウスにおいて、対象マウスにプロスタサイクリンアナログを皮下に持続的に投与すると、肺転移病巣数は有意に減少した。このことは、プロスタサイクリンアナログの投与は、肺癌細胞の増殖に影響を与えなかったことから、肺転移病巣での間質環境の変化が影響している可能性を示唆した。この結果により、プロスタサイクリンアナログを投与したマウスと、投与しないマウスでの新生腫瘍血管の形態と機能を検討した。その結果、プロスタサイクリンアナログを投与したマウスの新生腫瘍血管は、投与しないマウスの腫瘍新生血管よりも成熟していることを見いだした。このプロスタサイクリンアナログによる腫瘍血管の成熟は、血管内皮に結合するペリサイトの数によって規定されていることを見いだした。すなわち、マウス肺癌肺転移モデルにおいて、プロスタサイクリンアナログの経口投与は、ペリサイトの機能を向上することで、腫瘍血管の成熟をうながし、肺転移を抑制していると考えられた。追加実験によって、この腫瘍血管の成熟が腫瘍内の低酸素状態を改善している可能性を示した。本研究の成果は、研究グループの大学院生の医学博士学位論文に結びつき、2013年にアメリカ癌学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画した目標を達成している他、新たな研究課題を見いだすことができた。さらに、研究に用いたプロスタサイクリンアナログが腫瘍血管の成熟を通じて肺転移を抑制したことから、同様の機序をもつ化合物が抗癌剤としてしようできるポテンシャルを持つことが示されたことから、新しい観点からの抗癌剤の開発に結びつく結果がえられた。新薬の開発にひとつの方向性を示すことができたことが、当初の計画以上に進展していると考えた理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に用いたプロスタサイクリンアナログは、肺癌以外の疾患ですでに臨床に使用されている薬剤である。今後は、腫瘍血管の成熟化を通じて、癌転移を抑制するのに最適な薬剤と、その投与法を検討していく必要がある。今後は、この方向に強く研究を推進してく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロスタサイクリンアナログが骨髄由来の腫瘍血管前駆細胞に作用して血管の成熟に関与していることを確認する研究を展開するために、プロスタサイクリン受容体欠損マウスの骨髄を、レシピエントマウスに移植した実験動物を作成して、このプロスタサイクリン受容体欠損骨髄をもったマウスでプロスタサイクリンアナログが同様の作用を示すか検討を加えたい。さらに、他のプロスタサイクリンアナログ、他の腫瘍転移モデルを用いて、今回の研究で見いだした結果の普遍性を検証したい.
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] IgG4関連疾患における胸部CT所見の臨床的検討2013
Author(s)
風林佳大, 小笠寿之, 横田 崇, 平井理子, 遠藤哲史, 南 幸範, 澁川紀代子, 佐々木高明, 黒田 光, 山本泰司, 長内 忍, 長谷部直幸, 大崎能伸
Organizer
第53回日本呼吸器学会学術講演会
Place of Presentation
東京(東京国際フォーラム)
Year and Date
20130419-20130421
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[Presentation] サルコイドーシスとIgG4関連疾患の合併が強く疑われる一例2013
Author(s)
黒田 光, 横田 崇, 風林佳大, 平井理子, 遠藤哲史, 澁川紀代子, 佐々木高明, 山本泰司, 小笠寿之, 長内 忍, 大崎能伸, 長谷部直幸
Organizer
第53回日本呼吸器学会学術講演会
Place of Presentation
東京(東京国際フォーラム)
Year and Date
20130419-20130421
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[Presentation] 小型肺腺癌における細胞診と組織診によるEGFR遺伝子変異の検討2012
Author(s)
佐々木高明, 平井理子, 風林佳大, 南 幸範, 遠藤哲史, 澁川紀代子, 山本泰司, 小笠寿之, 佐渡正敏, 北田正博, 加藤志津夫, 三代川斎之, 大崎能伸
Organizer
第53回 日本肺癌学会総会
Place of Presentation
岡山(岡山コンベンションセンター, 他).
Year and Date
20121108-20121109
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[Presentation] 2010年全国アンケート調査からみた呼吸器内視鏡診療の実態2012
Author(s)
浅野文祐, 青江 基, 大崎能伸, 岡田克典, 笹田真滋, 佐藤滋樹, 鈴木栄一, 千場 博, 福岡和也, 藤野昇三, 大森一光 (呼吸器内視鏡学会安全対策委員会)
Organizer
第35回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会
Place of Presentation
東京(京王プラザホテル)
Year and Date
20120530-20120531
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[Presentation] PGl2 持続静注療法後、長期間観察し得ている門脈肺高血圧症の一例
Author(s)
小笠寿之, 平井理子, 風林佳大, 遠藤哲史, 南 幸範, 佐々木高明, 澁川紀代子, 山本泰司, 長内 忍, 大崎能伸, 長谷部直幸
Organizer
第13回 肺高血圧症治療研究会
Place of Presentation
東京(東京国際フォーラム)
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[Presentation] PDTを施行した2例の検討 (無再発例と再発例)
Author(s)
遠藤哲史, 横田 崇, 平井理子, 風林佳大, 南 幸範, 佐々木高明, 渋川紀代子, 山本泰司, 小笠寿之, 長内 忍, 大崎能伸
Organizer
第31回 日本レーザー医学会北海道地方会
Place of Presentation
札幌(ムトウビル)
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[Presentation] ベバシズマブ併用化学療法が有効であった肺多形癌の1例
Author(s)
横田 崇, 山本泰司, 風林佳大, 平井理子, 遠藤哲史, 南 幸範, 澁川紀代子, 佐々木高明, 小笠壽之, 長内 忍, 大崎能伸
Organizer
第38回 日本肺癌学会北海道支部会
Place of Presentation
札幌(北海道大学医学部臨床大講堂)
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[Presentation] ALK融合遺伝子陽性肺腺癌の1例
Author(s)
遠藤哲史, 佐々木高明, 横田 崇, 平井理子, 風林佳大, 南 幸範, 澁川紀代子, 山本泰司, 小笠壽之, 長内 忍, 大崎能伸, 三代川斉之
Organizer
第38回 日本肺癌学会北海道支部会
Place of Presentation
札幌(北海道大学医学部臨床大講堂)
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[Presentation] 縦隔・肺門リンパ節腫脹を呈したIgG4関連疾患の1例
Author(s)
風林佳大, 山本泰司, 横田 崇, 平井理子, 遠藤哲史, 南 幸範, 澁川紀代子, 佐々木高明, 小笠壽之, 長内 忍, 大崎能伸
Organizer
第34回 日本呼吸器内視鏡学会北海道支部会
Place of Presentation
札幌(北海道大学医学部臨床大講堂)
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[Book] 光アライアンス2012
Author(s)
大崎能伸, 佐々木高明, 澁川紀代子, 奥村俊介, 北田正博, 竹山周良, 中島 進 (共同執筆)
Total Pages
総頁数中5頁 (pp46-50) 担当
Publisher
日本工業出版