2012 Fiscal Year Research-status Report
骨髄間葉系幹細胞由来液性因子の代謝変容作用を用いた呼吸器難治病態の制御
Project/Area Number |
24591149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大河内 眞也 東北大学, 大学病院, 助教 (40375035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老名 雅仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10280885)
兼平 雅彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (90374941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ワルブルグ効果 / 間葉系幹細胞 / 液性因子 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
動物実験モデルと患者検体を用いて、骨髄間葉系幹細胞由来液性因子Stanniocalcin1(STC1)が肺線維症・肺がんの病態もしくは治療に関してどのような役割を持っているのか、あるいは果たし得るのかについて研究した。STC1の代謝変容作用を介した組織保護作用に関しては、2012年2月に論文として発表した(Ohkouchi S et al. Mesenchymal stromal cells protect cancer cells from ROS-induced apoptosis and enhance the Warburg effect by secreting STC1.Mol Ther. 2012 Feb;20(2):417-23)。本年度前半の研究で肺線維症の治療に関する重要な知見を得たので、本年度はSTC1を用いた肺線維症の治療開発研究に重点を置いた。以下に疾患別の研究について簡潔に述べる。 1.肺線維症 STC1投与が肺線維症動物モデルで、肺の線維化、過酸化ストレスを軽減させることが明らかとなった。その機序について、ミトコンドリアと深い関わりを持つタンパク群がSTC1に直接制御されている知見を得た。さらに肺線維症の病態形成に関わるある物質群が骨髄間葉系幹細胞に働きかけ、STC1産生を増すことを明らかにした。また、STC1を障害局所に効率的に移入する方法を見つけた。これら知見は順次、学会報告・論文化・特許化などで社会に還元していく。 2.肺がん ある病態を示す癌患者でSTC1が上昇していることを発見した。ただしSTC1がこのような病態において、癌病態の促進のために上昇しているのか、癌からの生体防御のために上昇しているのかは現時点では明かではない。次年度以降にこれらの課題に取り組んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は障害環境下で骨髄間葉系幹細胞由来のSTC1が組織保護作用を持つことを明らかにしてきた(Paracrine factors of multipotent stromal cells ameliorate lung injury in an elastase-induced emphysema model. Mol Ther. 2011 Jan;19(1):196-203, Multipotent stromal cells are activated to reduce apoptosis in part by upregulation and secretion of stanniocalcin-1. Stem Cells. 2009 Mar;27(3):670-81)。現在進行中の仕事は、これらの研究の延長線上にあるもので、STC1の組織保護作用を難治性呼吸器疾患の治療に応用使用とするものである。「研究実績の概要」で述べたとおり、肺線維症に関しては臨床応用が可能であることを示し得るところまで、研究は到達しつつあると考えている。以上を考えれば、我々の研究は当初の予想以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄間葉系幹細胞由来液性因子Stanniocalcin1(STC1)を用いた肺線維症の知見に関しては早期の研究のまとめ、学会発表、論文化、特許化などを目指す。STC1が関与する肺がんの病態解明に関しては、引き続き患者検体を用いた検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた網羅的解析法を次年度に繰り越したため、予算も一部繰り越した。そのため本年度は以下のように研究を計画する。 障害局所に対する効率的なSTC1移入方法についてさらに検討していく。 STC1が肺がん進展に関与しうるか否か検討を進める。 これらのテーマに対し、動物実験を進めるとともに、メタボローム解析、エピゲノム解析、マイクロアレイ解析などを用いた網羅的研究も推進していく。 以上に対し、研究開発を行うとともに、論文化、海外における海外発表・研究交流なども行っていく。
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Research Products
(4 results)