2012 Fiscal Year Research-status Report
モデルマウスを用いたIgG4関連呼吸器疾患の基礎的研究
Project/Area Number |
24591158
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松井 祥子 富山大学, 保健管理センター, 准教授 (40334726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 充弘 金沢大学, 大学病院, 講師 (20361983)
林 龍二 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (60345585)
山田 和徳 金沢大学, 大学病院, 助教 (90397224)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | IgG4関連疾患 / IgG4関連肺疾患 / Th2 / モデルマウス |
Research Abstract |
IgG4関連疾患は、血清IgG4の上昇と病変局所におけるIgG4陽性形質細胞の著明な浸潤という共通の病態をもち、幅広い臓器に病変を認める全身性疾患として提唱された。申請者らはTh2 優位の免疫反応とリンパ増殖性疾患を自然発症するLATY136F変異マウスが、IgG4 関連疾患の動物モデルとなり得るかについて、金沢大学と共同研究を行い、肺病変について検討した。 本年度は、4、6、8、10、12、16、20週の各週齢に認められる肺の病理学的検討を行った。LAT Y136F変異マウス4週目以降に肺にリンパ増殖性疾患を発症することが明らかとなった。HE染色、アザン染色、IgG、IgG1染色(ヒトのIgG4に対応)を行った結果、少なくとも6週齢では、著明な炎症細胞浸潤を認めた。線維化は週齢を経るごとに進行した。 また、4-5週齢のLATY136F 変異マウスにプレドニゾロンまたは生食を腹腔内に投与し、ステロイド反応性について評価した。その結果、ステロイド投与群では、生食投与群と比較して、7週齢における肺の炎症は軽度であり、ステロイド反応性を認めた。 これらの結果より、LATY136F 変異マウスは、Th2優位の免疫反応、血清および肺でのIgG1陽性細胞の増加、ステロイド反応性を認めることから、IgG4関連肺疾患のモデルマウスとなることが確認された。 今後は、本モデルマウスを用いさらに詳細に検討を行い、IgG4関連肺疾患の病態の解明を行う予定であるが、その基礎を築くことが出来た点で、意義のある結果であったと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、LAT Y136F変異マウスの肺病変に関して、病理学的検討およびステロイド反応性の評価を行うことができ、IgG4関連肺疾患のモデルマウスとしての特徴についての評価を終えることができたため。(当初の計画を若干変更し、初年度に予定していた二重染色による病理検討は次年度に行い、次年度に予定していたステロイドの反応性を初年度に施行した。)
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に行ったLATY136F変異マウスの肺病変に関し、病理学的、免疫学的検討をさらに進める。具体的には、免疫染色にて肺病変への浸潤細胞の同定を行い、線維化を定量的に測定する。 また、ステロイドにて肺病変の進行の抑制を確認したが、ステロイド前後でのTh1およびTh2サイトカインの発現や浸潤細胞の免疫組織学的検討を行う予定である。 さらに、今年度はLATY136F変異マウスの気道病変について詳細な検討を行う。具体的には、金沢大学において、6週齢のLATY136F変異マウスおよび野生型マウスに対して、肺の気管支肺胞洗浄を施行する。得られた肺胞洗浄液および肺の組織を、富山大学にて分析する。上清液中のIL-4,IL-5,IL-13,IL-6,IL-10, TGF-β等のTh2や炎症性サイトカイン各種の測定をELISA法で行い、気管支喘息様症状を発症するIgG4関連肺疾患の病態解明の糸口を探る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LAT Y136F 変異マウスの系統維持および実験用のマウスの飼育のため、常時50匹以上飼育している。その飼育費用として、350千円を予定している。 免疫染色、組織染色用試薬および抗体として、それぞれ150千円、100千円を予定している。前年度に採取した組織染色の一部が未施行なため、前年度の繰り越し680千円のうち、400千円を組織染色(二重染色)に予定する。また、real time PCR用試薬、リンパ球分離試薬としてそれぞれ150千円、100千円を予定している。本年度はサイトカインの解析を行うことから、ELISA測定試薬、キット代として500千円を予定している。コラーゲン測定も再検のため、前年度の繰り越しの680千円中280千円をコラーゲン測定及びELISA測定に予定する。また、OVAなどによる喘息感作マウスの作成が可能かどうかの試行のため300千円を予定している。本研究は金沢大学との密な協力体制のもと行っている為、研究の打ち合わせおよび学会でのディスカッションのため、旅費として150千円を予定している。
|
-
[Presentation] IgG4-related lung disease2012
Author(s)
Matsui S, Yamamoto H, Waseda Y, Minamoto S, Inoue D, Mishima M, Kubo K, IgG4-related research group
Organizer
The 17th Congress of APSR
Place of Presentation
Hong Kong, China
Year and Date
20121214-20121216
-
-
-