2013 Fiscal Year Research-status Report
PPARαアゴニストによる肺腫瘍抑制メカニズムの検索
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24591159
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久野 壽也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345779)
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Keywords | PPARαアゴニスト / 肺 / 腫瘍 / 肥満 / 高脂血症 |
Research Abstract |
これまで肥満、高脂血症を発症するTsumura Suzuki Obese Diabetes (TSOD)マウスを用いて4-nitrosoquinoline 1-oxide (4-NQO)誘発肺腫瘍に対するPPARαアゴニストの効果を検討してきた。PPARαアゴニストの0.01、0.05%混餌投与は4-NQO誘発肺腫瘍の発生を用量依存性に抑制すること報告したが、前年度に続き、肺腫瘍に対するPPARαアゴニストの効果をIGF-1R, p-Akt, pErk1/2蛋白発現レベルにおいて解析した。その結果PPARαアゴニストはこれらの蛋白発現レベルを抑制することが明らかとなった。また、肺腫瘍性病変の増殖活性をKi-67免疫染色にて評価したところ、PPARαアゴニスト摂取により陽性率が有意に減少していた。昨年、血清中のインスリン、IGF-1の分泌量は、PPARαアゴニストの投与により用量依存性に減少することを報告したが、膵臓組織を病理学的に検索したところ、TSODマウスでは過形成性の腫大を示すランゲルハンス島がPPARαアゴニストの摂取によりleanの対照マウスと同等のレベルにまで縮小することが明らかとなった。 PPARαアゴニストはIGF-1及びインシュリン分泌レベルを低下させることによって、IGF-1R経路を介したp-Akt, pErk1/2蛋白発現レベルと細胞増殖を抑制し、肺発癌における抗腫瘍効果を示すと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。その理由として、肺癌細胞株の収集等、研究計画遂行に必要な準備が効率的に行われ、予定していたin vitroの実験計画が順調に遂行されたことがあげられる。免疫組織学的解析も遅滞なく行うことができた。本年度も、効率的な研究計画の遂行を心掛けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、肺腺癌細胞株での実験を進め、PPARαの強制発現とknock-downを行い、WST-1アッセイや、フローサイトメトリー解析を用いて細胞増殖、 細胞周期に及ぼす影響とそのメカニズムを解析する。肺癌組織を用いた免疫組織解析も行い、PPARαの発現強度やKi-67陽性率との関連を統計学的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の遂行状況は順調であったが、既購入物の弾力的な使用などにより、次年度使用額が生じた。 ベクター作成、knock-down実験に必要な合成オリゴ、細胞培養に用いる培養液、血清等とともに、プラスチック製品等、分子生物学的実験に関連した消耗品費を購入する予定である。成果の一部を発表する為に学会出張費、論文掲載料を支出する可能性があるが、人件費を支出する予定はない。
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